イタリア プログレ

ABIOGENESI


・ABIOGENESI (1995)

ハモンド・オルガンなどかなり古めかしい音を出すグループ。
下手とかいう次元じゃない吸血鬼ジャケの印象もあって (ジャケだけでなく、中の絵もトンデモナイ)、ダークでヘヴィな音を想像していたけど、アコーディオンがシアトリカルな不気味さを演出するバンド名を冠したインストがちょっとジャケに合ってるかなって程度で実際はいかにも昔のハードロック風のちょうど良い疾走感が聴いてて爽快という音だった。あまりに予想が外れたんで「えっ?」って感じではあるんだけど、そんな気持ちに引きずられなければ楽しめる逸品。レトロなロックがお好きなら是非。


(2015.06.06.Saturday)

ACQUA FRAGILE


・ACQUA FRAGILE (1973)

後にPFMに参加するBernardo Lanzettiがいたってことで有名なバンド。
振り返るとこのバンドの音を聴くのは憧れだったなぁ。外薗昌也さんのラグナシリーズにこのバンド名を冠したものがあって、昔懐かしいイタリアロックバンド (原文ママ) の名前から取りました。こわれやすい水というイメージが気持ちよかった云々と外薗さんのコメントが載っていて、そんなの読んだら聴きたくなるにきまってるじゃないですか、ねぇ? 更にCDジャーナルかなんかで曲目調べたら「SF組曲」なんて曲もあるじゃないですか! もう期待は高まるばかり。で、イタリアのBMGが紙ジャケで発売した時ついに聴くことができたんですが、ズバリ! 期待ハズレ。なんかなー…ボーカルが英語ってことを抜きにしてもイタリアらしさ皆無で…。いやまぁ国はどうでもいいんだ、曲が良ければ。でもコレがイマイチなんだわ。期待した「SF組曲」なんかただの弾き語りや。つまらん。一方でLanzettiのボーカルだけはクセがある。言うほどGENESISタイプでもないと思うけど奇妙な声を出すからオカシイ。ただ、PFM時代よりは音に合っている気がする。
余談ですが、このイタリアBMGの紙ジャケ、出来がヒドイです。本来4面開きっていうんでしょうか、そんなジャケなのに無理矢理ただの見開きに変えられてます。変だと思ったんだ、表と内で向きが逆とか。まぁ、日本のBMGが出した紙ジャケ買って初めて気づいたんですがね。つーか当時は日本盤出たら買い直してたんだなぁ。今はそこまでしてないなぁ。もいっこ余談。本作、ユーロロックプレスのレビュー欄にて”歌詞はイタリア語”と書かれてました。ンなアホな。


(2012.05.02.Wednesday)


・MASS MEDIA STARS (1974)

ジャケットやアルバムタイトルからはまるで期待できそうにありませんが実は!? 前作と同路線だとは思うがビックリするほどクオリティ上がってます!
躍動するほどにポジティブでポップで、聴いているとこっちもニコニコしちゃう。私の好きな叙情性なんかとは無縁だけど、いい意味でのポップさなのです。そしてもちろんちゃんとプログレしてます。アルバムラストだけ、ちょっと疑心暗鬼になっているかのようなメロディが出てきて、それだけでトータル性があるように思える。こんだけポップなのに。前作もそうだったが、透き通らない声でYES風のコーラスやられてもイマイチだし、Lanzettiのボーカルも相変わらずのクセっぷり。シアトリカル系のバンドと違ってなんの意図もなくクセがある感じなのがイヤなんだよなぁ。こういった欠点は残ったままだけど、断然パワーアップした姿を見せてくれる作品です。


(2012.05.24.Thursday)

ALEX CARPANI


・WATERLINE (2007)

シンフォニック系プログレ? このAlex Carpaniって人は結構な音楽活動歴があるベテランらしい。
Paul Whiteheadのアートワーク、LE ORMEAldo Tagliapietraはじめ、14人ものゲストが参加してのアルバム。主役のAlexのキーボードとゲストによるギターを中心とした (ギターだけで8人参加しているのだ) シンフォニック・ロックで、なかなか良い曲が揃っている。ただ、コレは名曲だ!、といえるほどの曲は無いかな。どの曲も似ているとは言わないにせよ、ある程度パターンが決まっている感じ。水の世界を描いたというわりにアクアな感じ (どんなだよ) があまりしないこと、それなりにギターが力強く主張するのでAldoの歌声が曲に合っていないこと (まぁ出番自体少ないんですが)、アルバム後半はややジャジーかつブルージーな曲が出てきて幻想性を減じてしまうこと、この辺は不満ではありますが、どれも細かい事だし十分に優れたアルバムといえる。ファンタジーな感じからカッコイイギターソロまで揃っている1曲目「Siren and the Mariner」、1分を過ぎてからのお約束な幻想性に惹かれる2曲目「Levees Break」、ギターからキーボードにスパッと切り替わるところがドラマティックな4曲目「Reclaimed」あたりが気に入ってます。


(2010.11.24.Wednesday)

ALHAMBRA


・LUNA NOVA (2002)

ボローニャで結成されたというバンド。
EMBRYOAMON DUUL IIのメンバーなどに謝辞が送られている事や、ブックレットのキチガイ丸出しのイラストからもわかるようにプログレというよりはサイケである。ただ、そういった外的な要素から受ける印象よりはマトモな音楽で、フルートメインで結構叙情的だったりもするんでこれならシンフォ耳にも対応かな〜とか思わなくもなかったが、やはり全体に虚ろに空を見つめているような不健康な感じがある。ムーディーなピアノ、なんとか気力を振り絞るVo、牧歌的な和み曲、明るいポップ、ジャーマン東洋系サイケみたいな曲、いずれもフルートが空気を読まないほどに大活躍しており、個人的にはそれだけで結構満足だけど、特別気に入った曲もないかな。レトロな感覚のサイケという点ではギリシャのWILL-O-THE-WISP辺りと通じるものがあるかもしれんとか思ったり。


(2013.07.22.Monday)


・TEMPORALE (2005)

こちらは曲ごとに参加するメンバーが大きく違うという構成で、サイケ要素どこいったしという感じのアルバム。前作と違ってイタリアンな雰囲気が出ているのだが、なんというか少し大人びたサウンドになっている。フルートは相変わらず暴れているものの、新たに参加した女性Voを中心にただの古臭いポップにしか聴こえない部分があってツライ…。しかし! ラストの「Yeti Meets Mushroom」は超絶サイケとなっています。AMON DUUL IIChris Karrerが参加しておりウニョウニョと捻り出すサックスが炸裂してます。サイケ成分はこの曲に集約した感じか。ちょっと安心した。けどま、ほとんどの曲がつまんないですわ。


(2013.07.22.Monday)


・CANTO DI SABBIA (2009)

ProgArchivesでは公式サイトで無料ダウンロードできるみたいに書いてあるけど繋がらへん。結局Amazonでダウンロードしました。
多くの曲がイタリアの観光地でのんびりしている気分にさせてくれる明るいポップスという感じで、ここまで来ると時折フルートが暴れようと無意味だと思ってしまう。民族音楽入ったサイケ調の曲も健在ではあるがジャズ・ロック要素がかなり入っちゃって、実に音楽的にフツーになっちゃったもんだなんて思ったり。カエルみたいな声の女性ボーカルもキツイし、ホントにつまらん。結局一作目が一番良かったなぁ。


(2016.02.21.Sunday)

ALLEGRI LEPROTTI


・AU ZULO (2007)

5人組だが多くのゲストも参加する作品で、管楽器主体の部分が多いためか若干アヴァンギャルド寄りのプログレになっている。カンタベリー風というか、チェンバー・ロック風というか。その類は決して得意ではないのですが、本作は往年のイタリアン・ロックのドラマティックな部分なんかもしっかり登場し、アヴァンさと決して交じり合わない唐突な展開が面白いです。
美しさだけでなくアヴァンな不気味さも同時に出ているフルートも大活躍。芝居がかったというか、ちょっと狂い気味の女性ボーカルも良い。一番好きな部分は5曲目の長閑なとこなんですけどね。


(2015.08.21.Friday)

AMANITA


・L'OBLIO (1997)

1990年代終わり頃に本作のみ残して消えた5人組。
10分超えの大曲が多く、レーベルもMellowだしシンフォかな、と思いきや結構ハードロック調。でもそこに勢いの良いフルートが絡んできてニンマリ。そんな作品です。イタリアのハードロック&フルートってことで、OSANNAっぽい感じもあるかも? まぁ、正直な所B級な匂いが凄くあって、でもただただ良いメロディを奏でたいんだというタイプのB級でもないんで個人的にはあんまり気に入ってないかな^^;
ラストのちょっぴりサイケな空間系の曲はなかなか好きかも。


(2016.10.29.Saturday)

ANCESTRY


・DISCENDENZE (2003)

シンフォニック・ロック系のバンド。
FLOWER KINGS辺りが思い浮かばないでもない実に正統派でワールドワイドなシンフォで、イタリアンな感じはボーカルのみとなっている (そしてそれが大きな特徴といえる)。とにかく1曲目が素晴らしい。さわやか系ファンタジーなキーボードで始まり、アコギバックにイタリア語のボーカル、そして雄大な広がりを見せるなど流麗に変化していくのがとても良い。ただ、それ以外の曲はややツライか。多少耳を惹く部分はあれど、フックに欠ける曲ばかりという印象。


(2014.01.21.Tuesday)

ANCIENT OAK


・ANCIENT OAK (1997)

ギタリストのAndrea Vaccarellaを中心としたバンド。女性ボーカル2人、弦楽隊4人など大所帯だ。
しっとりアコースティックな部分とヘヴィなギターがギャンギャン鳴らされる部分が交互に出てくる作り。前者は悪く無いと思うものの、ヘヴィな音楽を聴いていると疲れてしまう私にとって後者はちょっとしんどいな^^;
音の悪いギターと盛り上げるべき所で非常に苦しそうなボーカルを聴いているとある意味アヴァンギャルドだわなんて思ってしまう。ボーカルの印象もあってかB級C級のゴシック・メタルみたいと感じたりも。3曲目は丸々微睡んだアコースティック曲で、空間の広がりを感じさせる音も良いし一番お気に入りの曲です。なおバンドはANCIENT OAK CONSORTと名前を変えて2006年に1枚アルバムを出している。


(2015.05.14.Thursday)

APOTEOSI


・APOTEOSI (1975)

シンフォニック・ロック系? メンバー5人の内3人は家族だろうか、同じ姓ですナ。
地味なジャケは残念だが、中身は良い出来。典雅なクラシカルさのあるパートから一転ダークな表情を見せる辺りいかにもイタリアのバンドらしい。唐突とも思える展開を見せるが、それがいいのだ。バンド名を画像検索してみると色々荘厳な絵画が引っかかる。どうも"神格化"なる意味のバンド名らしいが、何となくそのイメージにピッタリな曲が並んでます。個人的に3曲目の「Il Grande Disumana - Oratori (Chorale) - Attesa」が大好きで何度もリピートしたもんです。美しくも邪悪で、イタリアンロックのイイ所が詰まった名曲と言っていいかも。唯一弱点と言えそうなのはボーカルかな。女性男性共にムリヤリ声を張り上げる癖があるようで・・・。まぁ男性のほうは邪悪さを表現してると言われれば納得なんだけど。女性のほうは普通に歌うところは可憐な声してるだけにもったいないよ。


(2010.11.25.Thursday)

ARCADELT


・ENJOYPAN (2009)

1992年、ローマにて結成された4人組。
1996年発売のアルバム『Enjoy』から数曲をレコーディングしなおしたものとの事で、音質などかなりパワーアップしている。日本向けの作品なのかは知らんが、ペラペラのデジパックの中にはちと残念な日本語でバンドの説明が書かれており、それによると、GENESISとコンメディア・デッラルテに影響された音楽だとか。シアトリカルなボーカル、メロウなギターに幻想的なキーボードで親しみやすいポップさもある音。ギターがゴリゴリとヘヴィだったりする部分もあり、現代感もしっかりアピールw。湿り気が無く、カラッとしたサウンドなのはやはりイギリスのバンドとは違うなぁって思ったりする。まぁ特別大きな魅力があるわけではないが、GENESISタイプが好きならそれなりに楽しめるレベルかと。


(2014.02.06.Thursday)

ARK ENSEMBLE


・RIMBAUD (2003)

ロクに情報がないバンドだが、ある南米のサイトにANGEやフレンチ・カナダのバンドが好きなら、みたいに書かれていたので購入。
アルバム・タイトルからもわかるが、 歌詞は全てフランス詩人Arthur Rimbaudの詩からとられており、イタリアのバンドなのにフランス語で歌われている。ピアノやアコースティック・ギターなど中心の静かなバックにフランス語の響きを活かしたボーカルが乗る。基本リズム楽器はなく、やたら地味だがジワジワ盛り上げる曲はあるし、深みある音響を聴かせてもくれるし、美しいアルバムではある。所々狂気が滲み出るのも芸術チックでいいかも。


(2014.03.04.Thursday)

ASSENZIO


・'AVON (2005)

バーリ出身だという5人組。ボーカルはフルートも担当。
ラスト2曲などハード・ロック寄りのヘヴィ・シンフォが中心なのかなという印象が残るが、全体としてはとてもバラエティ豊かなアルバムで、たまらない旋律を連発する哀愁のトラッド・フォークみたいのから厳かなピアノが良い雰囲気の曲まで色々ある。ハイトーンで歌い上げるボーカルも癖が少ないので好印象。目立った名曲は無いかもしれないけど、結構オススメ。


(2014.05.01.Thursday)

ASTRALIA


・CONNECTED (2000)

ボーカル兼フルート擁する5人組。
ポンプ風の曲にスペーシーな味付けをしたといった作風で、ギターがしっかり主張しつつも泣きに走らないあたり、スペーシーな感じとよく合っているし、悪くない。ただ、平坦な歌メロを垂れ流し、カッコ悪いとしか思えない声でGENESISチックに歌ったりするボーカルがヒドすぎる! インストの1曲目が一番良いという結論に至る。


(2014.03.02.Sunday)

CELESTE


・PRINCIPE DI UN GIORNO (1976)

音楽祭などで有名なサンレモにて’72年に結成されたというバンド。メンバーは元々IL SISTEMAに在籍していたとのこと。
メロトロン、弦楽器や管楽器中心に奏でられる、およそロックという言葉からは想像しにくい静かな世界を描いている。
一寸先も見えない霧の中にいるような不安を聞き手に覚えさせる、余りにも夢見がちなトコロもあれば、光が漏れ出してくるような救われる感覚もある。
神秘的な音色のピアノも効果的ですね。
モノクロだけど輝いているような内ジャケットのイラストも含め、優れた作品だと思う。


(2020.1.12.Sunday)


・SECOND PLUS (1993)

セカンドアルバム用として録音されるもオクラ入りになっていたモノを’91年に『CELESTE II』のタイトルで300枚限定でアナログリリース。その2年後、CD化の際に沢山のボーナスを加えてタイトルも変更になったのがこちら。
まず、オリジナルからある4曲はメロトロンよりサックスキメキメでリズムもボーカルも激しくなってしっかりした音になった。こりゃもうほとんどジャズロックだな。
一方静かなパートは前作の香りをハッキリ残していて、イイなぁと思える。コレなら静と動の間に抑揚がついて……なんて言いたいところですが動に魅力が足りない^^;
唯一 「La Danza Del Mare」 は前作のような「霧」と暗黒なアバンさを見せつけるイイ曲!
ボーナストラックは冒頭2曲ととラスト2曲が良い。前作の美を薄めて呪術寄りにしたような不気味さも良いし、音は悪いがフルートとバイオリンが美しい曲、迫り来るメロトロンが前作同様の満足感を与えてくれる曲など、本編より良い(笑)


(2020.1.12.Sunday)

CERVELLO


・MELOS (1973)

OSANNAと関わりが深いバンドで、冒頭の陶酔狂乱のディオニュソス密議の様子からギリシア神話の世界観に引きこまれます。不気味な音に乗るフルートが決め手ですね。暗く深い森の中で行われる儀式を見事に描いている。これほど古代神話世界を匂わせる空気を醸すことに成功したのはこのバンドだけでは? 特にスゴイのはまるでいわゆるロックっぽさがないこと。フツーのロックとは明らかに異質、でもしっかりロックなのだと思わせる激しさと凄みが溢れている。プログレの中でも究極の一枚。必聴というしかないです! 重く美しい世界を見事に歌い上げたボーカルのGianluigi Di Francoは亡くなっているそうです。


(2012.10.06.Saturday)

DONELLA DEL MONACO & PAOLO TRONCON


・VENETIA ET ANIMA (2004)

OPUS AVANTRAのヴォーカリストを中心とした作品。ジャケにはOPUS AVANTRA ENSEMBLEという表記もあり。
弦楽などをバックにドネラが素晴らしい歌声を披露したり、呟くように語ったりするのは昔と変わらない感じ。でも鬼気迫るようなアヴァンギャルドさは殆ど無くなったようで、柔らかく美しくクラシカルになったといえるかな。
雄大な海が眼前に広がるような懐の深い作品かも知れないが、あまりピンと来ず…。


(2014.06.04.Wednesday)

ERIS PLUVIA


・RINGS OF EARTHLY LIGHT (1991)

雑誌などでFINISTERREに関する文を読む時、必ずと言っていいほど目にするのがERIS PLUVIAの名前でした。なんでもここの管楽器奏者がFINISTERREに参加したってことのようで、まさかセカンドの美人女性が? と興味持って買ってみれば、全くの勘違いでEdmondo Romanoなる人物のことであった。ああ、FINISTERREにゲスト参加してた人のことか! なんだゲストか!!(笑)
さてそのサウンドですが、Edmondoの管楽器を中心にした叙情派といった感じで、CAMELを凄く柔らかくしたようなイメージ。フルートよりもリコーダーが多く使われていて、なかなかまっすぐな音が出せないその不安定とも言える朴訥な音色が胸に刺さるのです。明るくノリの良いパートの存在が叙情を引き立ててるのも印象深い。Voは英語で、イタリアらしさなんかは低いスッキリと清涼な、夏に聞きたいシンフォ作。


(2019.09.06.Friday)


・THIRD EYE LIGHT (2010)

実に20年近くぶりのアルバム。メンバーは大きく変わっており、当然の如くサウンドも変わりました。Edmondoではないですがフルートが前作よりも広がりを持たせたかのように響き、感動する。といっても管楽器よりギターの目立つ場面が多くなった。奏者も変わってよく伸びて泣くギターです。ザクザクで疾走、ロックしてるヘヴィさは前作には無かった物。音全体が分厚くしっかりした感じがあるし、確実にレベルアップしています! もちろん前作の素朴さを懐かしんでしまう気持ちもあるけど。


(2019.09.06.Friday)

EMPIRE


・BACK TO KNOWLEDGE (1994)

シンフォニック系? SYNDONEのメンバーを中心としたプロジェクトです。
SYNDONEをややポップなフュージョンに近づけて、そこにELPの影響が強い部分、80年代的ロック・ポップ的女性ボーカルを織り混ぜた多少なりとも独特のサウンド。『TRILOGY』に入ってても違和感無さ気なELP的キーボードロックで始まり、いつの間にかアレ?コレSYNDONE?状態に。んで、ノリノリ女性ポップ。1つの曲でそれらがコロコロ入れ替わります。でも、変な感じはしないです。違和感なし。まぁ一番イイのはインストの5曲目だったりしますけど。モロにSYNDONEって感じでスリリングです。禿山の一夜もやってますがこちらのシンセソロなんかはELPそのものですね。クラシカルな印象の無い曲ばかりの中、この曲はちと浮いてるかも。ちょっと焦点が掴みにくいけど、キーボード好きなら聞いて損しないレベルではあるかも。あ、イタリアらしさみたいなのとは無縁のサウンドです。


(2012.07.06.Friday)

FESTA MOBILE


・DIARIO DI VIAGGIO DELLA FESTA MOBILE (1973)

『旅行日記』という邦題が付けられ、ピアノを多用したシンフォを聞かせる。
縦横無尽に跳ね回るピアノがなかなかスゴイです。ジャズっぽくなりすぎず、クラシックが基本なのがイイ。クラシカルなテクニカルさです。お気に入りは3曲目の「Aristea」。1分過ぎからが素晴らしい。イタリアらしさ満点のピアノが沸き上がってくるところが最高なのです。熱くもおおらかなボーカルもイイ。そしてめくるめく展開! まさにイタリアン・ロックでしか聴けないサウンドです。全曲イイんだけど、この曲がひとつ抜けてる感じでしょうかね。


(2012.04.21.Saturday)

FOLLI DI DIO


・FOLLI DI DIO (1992)

ギター兼キーボード、ベース、フルートの3人組で、全員ボーカルも取る (ドラムも聴こえるがクレジット無し)。録音されたのは1989年で、1995年にアナログ盤も出ているようです。
とてもオールドファッションなサイケ作。フニャフニャしたキーボードやフルートがエジプト風のメロディを奏でる1曲目なんかは陳腐だがかなりイイし、期待させといてその後はくすんだアコギに乗せたサイケ・ポップ調のボーカル曲が主体で、バンドの思惑通り (?) ’60年代ですかってくらい古臭いわ。サイケといってもなんとなくそんな雰囲気が出ている程度で面白みのある演出はないし、あくまでポップ音楽の範疇から飛び出すことのないサイケでしかない。しかしながらメロディはイタリアンな感じで結構聴けたりする。イタリア語の響きもあってカンタウトーレっぽい部分もあるし、要所でフルートも効果的に鳴っている。買って損したとまでは思わなかったかな。


(2013.10.30.Wednesday)

GIORGIO C. NERI


・LOGOS (2009)

ジェノバ出身というマルチ奏者のアルバム。
ブックレットにプラトンやニーチェの言葉が載っており、なにやら深いコンセプトを感じさせるスペース・ロックサウンド。HAWKWINDを思わせる爆走ロケンロースペース・ロックからクラシカルだったりトラッド風だったりゴシック調だったりという美しい曲、東洋風サイケ等々あくまでスペース・ロックの範疇ながら幅広い曲が聴ける。10曲目の「Tuona il Cannone」は哀愁のフルートなどが盛り上げるバラードで名曲。最近もMANGALA VALISに参加するなどプログレ方面での活動も目立つLABYRINTHRoberto Tirantiがチョロっと参加しているのもポイントかも。この曲からラストまでの怒涛の流れは必聴! ドラマの波に溺れそうになる。


(2013.09.20.Friday)

GREENWALL


・ELEKTROPUZZLES (2000)

Key等を奏するAndrea Pavoniのバンド。
まじまじとクレジット見てもAndrea以外の名前が無いな。全てを自分だけで演奏した?
いくつかのコンピ盤でやや濃い目のシンフォを披露していて、ここでもそんなサウンドが詰まっているんだろうと思いきや全然違った^^;
シンフォな部分は極めて少なく、掴み所のない抽象的な曲が多い。現代音楽っぽい (?) ピアノが鳴ってたりするなかなか個性的でスローな曲が並んでるけど、どれも印象は大きく違うので飽きない。まぁ地味ではあるんだけど、いいムードは出てるしなぜか幸せな気分にさせてくれる。不気味な洋館で遊ぶ子供みたいなイメージのとこもあって少し怖かったりも。メロディという面で見ると薄いかもしれないけど、不思議な魅力を感じる逸品ですね。


(2013.01.16.Wednesday)


・FROM THE TREASURE BOX (2005)

こちらは紙ジャケで登場。今のバンドなんだからフツーにプラケースでいいやん…とか思っちゃいます^^;
今作はちゃんとバンド編成で録音されたみたいです。ゲストにはソロアルバムも出しているSofia Bacciniの名前も。いかにもシンフォなシンセ (PFM丸パクリで爆笑する所も) が聴けたり、美しいフルートが華を添えたりして感動すると同時に前作の変なピアノが恋しくなったりもするな。アレはホント中毒性があるw。本作で一番気に入ったのはジャズ・ロックからクラシカルなピアノ、ムーディーなシンフォまで詰まった大作「Preludio to the End」かな。19分頃の燃えるような展開がステキ。全体的に前作とは違ってシンフォ作といっちゃっていいかもなぁ。それでも、オシャレで個性的で、シンフォ、ジャズ、ポストのどれにも当て嵌らない不思議な質感は残されてます。ブックレット内のイラストもプログレというにはオサレすぎるし。


(2013.01.16.Wednesday)

IL BACIO DELLA MEDUSA


・DEUS LO VULT (2012)

ヘヴィ・シンフォな音を聞かせる。バンド名はどういう意味なんだろう。クラゲのキス?
大変男臭いハード & ヘヴィな音です。そこに悪の組織首領的な邪悪なボーカル、フルートなどが乗るとまさに70年代イタリアン・ヘヴィ・シンフォそのもの状態。明るく楽しい中世音楽 (近年のAngelo Branduardiみたいな感じ) 風のパートが挟まったりと一本調子にならない工夫も嬉しい。これは高クオリティな作品ですなぁ。


(2012.08.28.Monday)

JACULA


・TARDO PEDE IN MAGIAM VERSUS (1972)

ギタリストのAnthony Bartoccettiが結成したバンド。イタリアン・ロックの熱く情熱的で……みたいなのとは対極のオカルト、呪術、儀式サウンド。Franz Parthenzyなる霊媒も参加ともう本気なのかなんなのやら。パイプオルガンが妖しくも荘厳に鳴り響き、女性ボーカルがだるそうながらも気合入った声を絞る……こんな1曲目はいかにも魔術なんて言葉から想像しがちな音で、つい部屋を暗くして浸ってしまう(笑)。クラシカルで物悲しいメロディが胸に刺さるわと感動していると、トランス状態の迫真の女性の声が聞こえてくる。そんな2曲目は彼らはマジなのか? マジモンの儀式を? ヒエーってなっちゃう (大袈裟)。儀式で燃え上がった空気を冷やすかの3曲目はフルートが優しい観光地のBGM(笑)。浜辺で微睡んでいる気分だがやはり目は虚ろ。とまぁこんな感じでアヤシサ爆発の逸品。Anthonyの超自然体験から生まれたバンド云々ってエピソードもなんだか信じちゃうな。本業は教師らしいけど、たまに変なこと教えてくれる変わり種教師だったりして(笑)。


(2018.11.07.Wednesday)

LAZONA


・LE NOTTI DIFFICILI (2003)

最近のイタリアンシンフォの中でも好印象だったFINISTERREのメンバーによるプロジェクト。
プカプカと浮遊感のあるサウンドで、最初近年のFINISTERRE関係のバンドのポスト・ロック路線の始まりがこのプロジェクトだったのかとか思いましたが、聴き直してみると違いますね^^;
全然ポストっぽくないです。確かに浮遊感はあるけどそれは初期のPINK FLOYD的なもので、そこにKING CRIMSON『ISLANDS』的な管楽器が乗るというなかなかツボをつくスタイルでした。静かで、とても知的さを感じさせる音。いい作品です。ラスト、延々と語りが続くのはちょっと退屈だけども。


(2011.08.10.Wednesday)

LA MASCHERA DI CERA


・LA MASCHERA DI CERA (2002)

FINISTERRE関連のバンド。邦題は『蜜蝋の仮面』、又は『肉の蝋人形』
栄光の70年代イタリアン・ヘヴィ・シンフォを現代に蘇らすとかなんとか豪語しており、出だしからMUSEO ROSENBACH丸出しみたいな音が飛び出す。実際ヘヴィ・シンフォとしてのクオリティは中々の物で、直球な音にピアノが不気味に響いたり妖しげなスキャットが渦巻いたり……ラストに安らかなバラードを聴かせるなど全体を考えた作りも良い。わかり易すぎて深みに欠ける感はあるが。あと、注文があるとすればボーカルかな。どうにも明朗で、ヘヴィ・シンフォに必要な悪の美学を感じさせる艶のある声の持ち主じゃないんだよね。


(2013.04.13.Saturday)


・IL GRANDE LABIRINTO (2003)

邦題は『大迷宮』
ストレートだった前作から一転、かなり複雑になった。聴き手の頭の中が迷宮になりそうなほどに。その不気味な演出は70年代のヘヴィ・シンフォとはまた違った感じになったと思うが、このバンドの個性といっていいかな。ラリパッパなオルガンから朝霧の如く柔らかな質感になり、ジワジワと盛り上がっていく4曲目「Ai Confini Del Mondo」は名曲かも。ただ、相変わらずボーカルはこのサウンドに向いてない。歌メロの幅も狭すぎる印象。


(2013.04.13.Saturday)


・IN CONCERTO (2004)

2003年9月のライブの模様を収録したアルバム。
セカンドのオーボエ曲から始まるのは意表を突かれる。その後しばらくはスタジオ音源よりもせわしないといいますか、不安定な演奏が続いて聴いててハラハラしますが、徐々に落ち着いていくようで聴きやすくもスタジオとの違いを主張する部分を入れたライブならではの展開を堪能できます。アトモスフェリックなジャジーさを醸すトコロが特に好き。MCがやたらロックしてるのが可笑しい (いやロックだけどもさ)。


(2019.08.02.Friday)

LA TORRE DELL ALCHIMISTA


・LA TORRE DELL ALCHIMISTA (2001)

『錬金術師の塔』という邦題が付いている。
まさにイタリアって感じの燦々と太陽が照りつけるカラッとしたサウンド。バンド名とは裏腹にAREAっぽさはない。とにかく陽に振れた音で、暗さや叙情性があまりないところは個人的に残念。フルートも目立ってるがあまり効果的なメロディ使いじゃないなぁ。とはいえ全体のクオリティは高い。キーボードのセンスがとてもいい。若々しくて、みずみずしくて。明るいけど幻想的な音色はなかなかいいのです。


(2012.04.13.Friday)


・NEO (2007)

フルート奏者脱退済み。まぁゲストでフルートやらヴァイオリンが参加してますが。
前作と基本変わらないけど、やや落ち着きが出たというか、ボーカルの表現力もアップして深みが出たね。結果、陽と陰の落差が大きくなってドラマ性が増した感じ。特に6曲目「Cerbero」が名曲レベル。いやぁ、断然前作より上ですね。しかしフルートの比重が大幅に減ってより好きになるとか、私としては珍しいな(笑)


(2012.04.13.Friday)


・USA...YOU KNOW ? (2005)

2002年6月29日、ニュージャージー州はトレントンにて行われたNEARFestの模様を収録したライヴ・アルバム。
ドヴォルザークから始まってすぐにバンドの曲に移行。あのカラッと乾いたみずみずしいシンフォが展開されていきます。ハキハキして豪快、でも音は少し繊細。スタジオ作に比べて大きく変わってる所がないのが残念ではあるものの、私の気分の問題でしょうがスタジオ作の時感じた若干の退屈さは今回は感じず。既にセカンド・アルバムからの曲も演っている。9曲目は多分ここでしか聴けない曲だが、正直イマイチ盛り上がらない曲だ^^;


(2015.03.17.Tuesday)

LE ORME


・AD GLORIAM (1969)

イタリアを代表するプログレバンドの一つ。
この頃はまるでプログレではなく、いかにも当時流のフツーのロック・ポップ。オルガンが鳴っていて、ちょっとサイケでっていう。プログレ前夜という感じすらない。この時代の音というのは正直古臭くて苦手。時の試練に耐えられてない感じ。でもまぁ頭ン中がお花畑すぎない感じはあるので当時の音楽としてはまだマシではあるが。なんにせよドラマ性とかメロディの良さとかは望むべくもない。このバンドらしい特徴のある歌メロは極一部見られるのでそこは聴きどころかもしれない。


(2012.05.01.Tuesday)


・L'AURORA DELLE ORME (1970)

邦題は『夜明け』。前作に入れられなかったシングル曲など集めたものとか。CD化されるまでは何故かレアなアルバムだったらしい。
基本的に前作と同じような音です (当たり前か)。ただ、「L'aurora」はそれなりにいい曲です。バックにほんのり弦楽が入っててラブロックな感じ。コレがあるんで前作よりは気に入りました。アルバム全体だとやはりあまり聞き返そうと思えません……。


(2012.05.01.Tuesday)


・COLLAGE (1971)

だいぶキテいるぞ。
前作までのクダラナイポップさはほぼなくなり、迫力あるヤケクソ気味のオルガンが炸裂するようになった。コレはプログレ前夜といっていいでしょう。歌メロもすごく良くなっています。男性が歌ってるのに可愛いとか思っちゃう、ほんと独特の声。これまでより確実に一段上がった作品といえるでしょう。


(2012.05.02.Wednesday)


・UOMO DI PEZZA (1972)

邦題は『包帯の男』。帯にはイタリアのELP等と書かれていますが似ている…か? ビミョー。
いやぁついにキタねぇ。もう今までとはまるで違いますよ。日照りな空気に美しいメロディ。それとは対極にある不気味でダークな旋律。これぞまさにイタリアン・プログレですよ。特に1曲目がいいんだ。1分30秒ぐらいからのピアノ。もうね、イタリア以外からは絶対出てこない音。美しいよぉ。イタリアン・ロックの醍醐味だよ。ダークにオルガン弾きまくる曲も前作とは違ってやさぐれた感じがなく、プログレな洗練がある。いい作品だなぁ。個人的に初めて聴いた彼らの作品が本作なんで思い出補正もあるけど、聴き返してみてもやっぱりイイ。このバンドより優れたバンドはたくさんいる。ではこのバンドの何が良いのか? 理屈じゃなく、愛されやすい、心に残る音なのだ。


(2012.05.02.Wednesday)


・FELONA E SORONA (1973)

邦題は『フェローナとソローナの伝説』
とてもわかりやすいプログレ作品。いわゆるキーボードシンフォニックってやつを演ってます。コンセプト・アルバムってこともあり、これまでとはえらく違う非常に暗さを感じさせるサウンドになっている。このバンドらしい可愛らしい歌メロも一部で健在だが基本抜け出ることのできないダークな世界という感じ。畳み掛けるキーボード、起伏のある展開、物珍しい暗い歌メロ等、イイ出来だとは思う。イタリアン・ロック特有のドタバタしたリズムを代表する面もある。それだけに音色の平板さが残念。曲ごとに音色に幅がなくて、アルバム全体を地味極まるものにしてしまっている。まぁ、このモヤモヤっとした音の感じは気持ちの晴れなさを表現していると捉えられなくもいない…か? 悪くはないんだけどあまり好きになれないでいる。


(2012.05.08.Tuesday)


・CONTRAPPUNTI (1974)

邦題は『夜想曲』
バラエティ豊かな楽曲が並び、プログレから離れ始めた感のあるアルバム。冒頭のタイトル曲が素晴らしい。音は案の定地味なんですが仄かに狂気を感じさせるキーボードの疾走がスゴイ。このバンドの一番の名曲かと。正直プログレとしてはこの曲だけの出オチである。でも他の曲も悪くないです。特にボーカル曲は独特ですねやっぱり。ショボイのに沁みる歌声ってやつ。5曲目の「La Fabbricante D'Angeli」なんて爽やかで耳に残る歌メロです。妊娠中絶に関する歌だったような覚えがありますが、爽やか。他にもふにゃふにゃと変な世界を作ってたりして面白い曲はあります。でもまぁタイトル曲が全て持っていくアルバムですな…。


(2012.07.21.Saturday)


・SMOGMAGICA (1975)

ギタリストが加入した7作目。
ギターのお陰であの弱々しさは薄まり、同時にプログレ色は益々減った。プログレ者の琴線に触れるのは1曲目「Los Angeles」ぐらいか。なかなか盛り上げドコロをわかっているハードプログレな曲です。これまで同様の優しいボーカル曲も健在だが、しっかりとギターが使われることでこのバンドとしては新鮮な感じがあるなぁ。コレはコレでアリ! ただねぇ…どうしようもないアホな曲も目立っちゃってるんだよね。もうメロディの質がこれまでとは全く別な曲。このバンドのファンでもなく、ただプログレな曲が聴きたいだけの私みたいな人にとってはコレがツライわけです。


(2012.07.21.Saturday)


・VERITA NASCOSTE (1976)

ジャケもツマラナクなりますますポッピーなんだろうと覚悟していたがアレ? 意外とイイかも。
ハードロックになりきれずギリギリプログレな1曲目。ポップだが疾走感ある2曲目。3曲目の儚さ。4曲目のズンズン突進するギターとそれに乗るオルガン。なんだこのアルバム。プログレじゃなくなってもボーカルやキーボードの音色はまるで変わってないと思わせられる。いや前作はモロに変わってたが。そういう意味で前作よりずっとイイ。それどころかこのバンドのアルバム中でも上位を争うくらい気に入っちゃった。ここにあるのはアホなポップさではないのだ。カッコイイポップさなんですな。曲の良い所を持っていくのは大抵キーボードだし。ラスト曲のギターもカッコイイし。予想外の逸品かも。


(2012.07.21.Saturday)


・STORIA O LEGGENDA (1977)

邦題は『物語と伝説』
時期を考えるとそれなりにプログレだという前評判にちょっと期待。1曲目、7曲目が実にイイメロディしてます。この時期のアルバムでこれほどの曲が聴けるとは思わなかったな。確かに以前のサウンドに戻ったような部分はある。以前にかなうような質があるかはまぁ別として。アルバムタイトルから連想するほど大仰な感じはなく、ゆったり聴ける曲が多い。全体としてはプログレ+前作のポップさって感じかな。でも、前作のほうが良かったです。


(2012.07.22.Sunday)


・FLORIAN (1979)

弦楽器を活用し、軽快でコミカルかつイタリアらしい典雅さもあるクラシカルな作品。
何かの本でチェンバー・ロック的云々書いてあったがそんな大袈裟なものでもなく、陽気でホンワカしてる部分が多い。いい雰囲気はあるんだけど、淡々と特に盛り上がることもなく過ぎ去っていく感じがあるのが残念。子供だった頃を思い出しながら愛でたい、そんな気分にさせられる一枚ではある。


(2013.03.24.Sunday)


・PICCOLA RAPSODIA DELL'APE (1980)

全体としては前作の路線を上手くポップに仕上げたという感じだが、前作よりも若干暗くドラマ性のある部分が目立ち、個人的にはこっちのほうが好きだな。
荘厳さと摩訶不思議さが同居するタイトル曲が特にイイ。歌メロはいつもどおりで、あの頼りない声で魅了してくれるような、いい加減マンネリなような、複雑な気持ちになる。


(2013.03.24.Sunday)


・VENERDI (1982)

ただのポップスだよーと事前に知っていたので特にショックもなく聴けました。
80年代…ポップス…てことでバブルポッピーでディスコでフィーバーみたいな苦痛でしかない音かと思いきや、そうでもないような。プログレ時代から歌物としての側面があったわけで、歌メロはこのバンドとしてはやや哀愁が少ないかなとは思うが、今作でも基本変わっていない。それは変わらなさすぎてマンネリ気味でもあるけど、やはりホッとするほどイイとも思える。バックに関してもピコピコなアホみたいな曲もあるとはいえ、弦がガガガガと太く細かく鳴らされたりと、そんなちょっとした細工を楽しむことは出来る。いうほど悪い作品ではない。ちなみに本作、1995年に『BIANCANEVE』というタイトルで再発されてます。


(2013.03.24.Sunday)


・ORME (1990)

やはりポップだが前作より自然な音作りになって聴きやすいかな。
大人になったというか、特に仕掛けもないひたすらただの歌モノって感じだがコレはコレで結構イイかもしれない。1曲目「L'universo」なんておもいっきりポジティブな曲調で聴いていると顔が綻んできます。他にもイイ曲はあるし、たまには聴き返したくなるレベルかも。


(2013.03.24.Sunday)


・IL FIUME (1996)

邦題は『川のある風景』
のっけから美しいピアノが登場し、ここ数作とは醸されるものが違うことに早くも気付かされる。ハジけるキーボードは朝の陽光差し込むかのよう。そこに相変わらずの可愛い声が聴こえてきて微笑む。やはり歌物主体で演奏のスリリングさなんかはないにせよ、悪い意味でのポップス臭は殆ど無く、これならプログレファンも納得!ってなアレンジが施されています。


(2013.08.29.Thursday)


・ELEMENTI (2001)

明確にスタイルとしてのプログレに回帰したアルバム。
70年代もけして光り輝く作品は出しておらず、こじんまりしてるけどイイよねみたいな愛で方しか出来なかったがついにそれを払拭である。
ファンファーレチックにシンセが唸り、ポジティブに躍動するシンフォで埋め尽くされている。そこに乗るかぼそいボーカルも周りが躍動している故により良さが際立つ。もう、目の覚めるような見事な出来です!。


(2013.08.29.Thursday)


・L'INFINITO (2004)

やはりスタイルとしてのプログレで、切れ目なくLE ORME流シンフォが繰り出されていく見事な内容。
70年代を思わせるハモンドとハープシコードが絡んだり、美しい異世界に響くかのボーカルとキーボード、クラシカルな管弦奏には『フェローナとソローナの伝説』を思わせるダークさがあってオッと思ったり、唐突なヘヴィさを見せたりと、やり放題だがしっかり整理はされているのでとても流れが良い。宗教的なドローンに乗ってシタールが弾かれ、でもボーカルはしっかりORMEという異色の8曲目「Canto」が面白い。


(2013.10.20.Sunday)


・LA VIA DELLA SETA (2011)

邦題は『シルクロード 東方に馳せる夢』。なんとバンドの顔だったAldo Tagliapietraが脱退してしまっている!
古楽のような雰囲気だったり少女趣味なまでに儚い展開だったりを挟みつつ、基本はすごく大げさなシンフォサウンド。とにかく派手に展開していく印象。そこに乗るボーカルはなんとMETAMORFOSIJimmy Spitaleriである! Aldoとは正反対のしっかりした表現力のあるボーカルによって音楽としての質が大きく上がったと感じられる。ただ、Aldoで馴染んでいたところにMETAMORFOSIで強烈な印象を残しているJimmyの声を持ってきたところでLE ORMEらしくない、METAMORFOSIっぽいと思ってしまう部分があちこちにあるのはしょうがないか…。LE ORMEと思わなければ名作なのは間違いないが……。


(2013.10.20.Sunday)

LELLO BRANDI


・OSANNA BLUES (2009)

OSANNAのベーシストのソロ・アルバム。
ジャケットやアルバム・タイトルからもわかるように大人の落ち着いたロックです。でも退屈さは感じない。大人がゆっくりワイン燻らせながら聴くのに適していない程度のノリの良さはあるから。あと、これは聴き手の感情ありきなんだろうが、OSANNA関連のアルバムとして納得いくメロディに溢れているのです。特に1曲目はモロにそんな感じでニヤけちゃう。OSANNAの名曲である「There Will Be Time」も聴けます。Fabiana Martoneなる女性がわりあい可愛らしい声で歌ってくれます。しっかり気持ちを込めて歌っているのが伝わってきてとってもイイ!
正直最初はただのロック・ポップだろうと思っていたが意外や楽しめる作品でしたよ。


(2014.02.24.Monday)

LETHE


・NYMPHAE (1993)

5人組シンフォ系バンド。レーテーの川なんていうとヘラクレスの栄光4を思い出して涙が…。
さておき、躍動感あるキーボードにボーカルが吹くフルートが彩りを添える、GENESISタイプのサウンド。ボーカルナニコレ。クセが強いなんてレベルじゃないぞ。声自体カッコ悪く、ヘタ。もうフルートだけ吹いとけ^^;
しかしそんなボーカルが気にならないくらい曲の出来はイイ。物悲しい旋律を奏でていてもいつ爆発するかわからない情熱を感じさせるのはイタリアン・ロックならでは。GENESISにイタリアの美意識を入れ込んだという感じで、結構気に入ってます。


(2013.07.26.Friday)

LINGALAD


・LA LOCANDA DEL VENTO (2010)

2000年にソロアルバムを出しているGiuseppe Festaがトールキンなどの影響を受けて結成したバンドとのこと。
フルート等を用いるトラッド/フォーク色豊かなシンフォといったところか。明るいところから物悲しいフルートの独奏に移ったりするのが大きな魅力。ボーカルは激しく熱いイタリアらしいものでそれもまた良い。トールキン影響下ということで、ファンタジーな感じがよく出ている逸品です。ただ、後半はトラッド色がめっきり少なくなってただの歌もの主体になってしまう。それでもイタリアンな味わいは十分感じられるがちょっと寂しいかな。


(2013.11.27.Wednesday)

LINO VAIRETTI


・IL SOGNO DEL LUPO (1999)

OSANNAのヴォーカリストのソロ・アルバム (といっても本作はオール・インスト)。
Gianni Pisaniという画家のために作られた作品だそうで、エスニックなポンポコパーカッションに優しいメロディが乗っていく平和な響きに浸れる作品となっている。時折、胸に刺さるような悲しい部分もある。一方でイージー・リスニングめいたトコロもあるんで眠くならないというと嘘になるんですけど、いわゆるシンフォからそう遠くない音とも思える。


(2014.02.10.Monday)

MALAAVIA


・DANZE D'INCENSO (2004)

パーカッションやフルート含む5人組ながら、沢山のゲストを迎えて作られたアルバムで、その中にはLINO VAIRETTIの名前もある。
たおやかで清涼なシンフォニック・ロックが中心で、大きく3つのパートに分かれており、曲間無くスムーズに進んでいく。チェンバロやチャーチオルガン様の音でクラシカルさを出したり、激しくはなくともプリミティブだったりと、派手さはないが人の心を動かす仕掛けに満ちている。ピュアな歌声からアネゴな感じまで出す女性ボーカルも良いですね。ソフトなシンフォの逸品!


(2019.09.16.Monday)

MAXOPHONE


・MAXOPHONE (1975)

70年代のアルバムでも特に評判が良いという事で期待を持って聴いてみればコレが実に良い!
結構ヘヴィなロックだったり、管楽器がホワホワと鳴ったり、ミステリアスだったり、明るく楽しかったり、1つの曲中でコロコロと変わるのがスゴい。最初に聴いた時はスゴいケドワケわからん!ってなったっけ(笑)。でも何度か聴いてる内に、こんなに変化に富んでいるのに散漫じゃないと思えてきたりしてやっぱり凄いなぁと。適度なアヴァンさも最高。 「Al Mancato Compleanno Di Una Farfalla」 が一番好き。美しく胸に迫る序盤とヘヴィな疾走を見せる後半……どっちもたまらないんじゃァ。


(2019.04.21.Sunday)


・LA FABBRICA DELLE NUVOLE (2017)

再結成し来日公演もあったりして、ついに届いたまさかの新作!
前作と同じ空気を纏っているのはハッキリとわかるし、聴いてて顔が綻ぶ事もある。だけど、やっぱり長い年月経てるわけで、かなり落ち着いた音になってますね。前作の熱さとは一変の大人なサウンド。バラードはフツーの哀愁ポップスみたい。これが今の彼ら……前作のイメージを捨てて聴けば良い作品なのは間違いない。無い物ねだりしてもしょうがないけど、個人的に求めていたものではなかったかな。 「Nel Fiume Dei Giorni I Tuoi Capelli」 は良いメロディを聞けるし、後半は前作に近いかも。


(2019.04.21.Sunday)

MOGADOR


・MOGADOR (2009)

ヨハン・クリスチャン・ダールのAn Eruption Of Vesuviusを用いたアートワークが目を引くファーストアルバム。
イタリアン・ロックといえば、クラシカルなメロディも、熱く歌い上げるボーカルも、とにかく過剰、でもそれがイイ! わけだが、やっぱりこのバンドはそういった要素はなくて、現代的でワールドワイドなシンフォニック路線。後の作品に比べると一段落ちる出来。だいぶ野暮ったく、理想とするサウンドに追いついていない感じを受けてしまう。くぐもったような音ゆえにヘヴィさは低めでその分耳に馴染む気がする……かもしれないが。


(2020.06.13.Saturday)


・ALL I AM IS OF MY OWN MAKING (2010)

2007年結成というバンド。
イタリアらしさはまるで無く、ゴリゴリとヘヴィなギターを使うことに抵抗もないイマドキのワールドワイドなシンフォ。FLOWER KINGS辺りをよりヘヴィにしたような感じで、たどたどしさや線の細さなど微塵もない硬質なサウンド。ヘヴィさと対比するかのたおやか曲もあるが、これの出来がちとイマイチなのが残念。下手でもじっくり紡ぐメロディがあるほうがイイなぁなんてヘタレな自分の琴線に触れるものはなかった^^;
とはいえ確固たるものを持ったバンドだということは伝わってくるし高クオリティな作品なのは確か。


(2013.08.28.Wednesday)


・ABSINTHE TALES OF ROMANTIC VISIONS (2012)

正直なところそんなに気に入ってはいないバンドだったんですが、そんな気持ちを打ち破ってくれたアルバムがこちら。
ヘヴィかつテクニカルな堂々としたサウンド。プログレメタルばりのパートすらあるが、テクニカルなだけのガチャガチャしたものにはならず、メロディのカッコヨサに重点が置かれていて耳を離せないわ。ギターに負けじと派手に鳴るシンセ、タイトル通りのロマンティックさから力強さまで見せてくれて印象深いです。大作の 「Prometheus」 が最高に好き。聴き始めたら他のことは一切入ってこなくなる圧巻サウンド! ゲストが歌う短い曲も雰囲気を盛り上げるべく挟まれていて効果的。『ALL I AM IS OF MY OWN MAKING』とよく似たものと思うけど、こちらは現代シンフォの間違いなき名盤だと思いましたよ!!


(2020.06.13.Saturday)

MUSICA ELETTRONICA VIVA


・LEAVE THE CITY (1969)

1966年、現代音楽家らによってローマで結成されたサイケバンド。フランスのCLEARLIGHT関連のDELIRED CAMELEON FAMILYと人脈的に絡むらしい。
1曲目「Message」はいかにもヒッピーらしい東洋かぶれサウンド。電子音、ヒョロヒョロの笛の音、ドローン、スキャット等色々出てくるがどれもキグルイ状態。2曲目「Cosmic Communion」は1曲目よりもエレクトロニクス多用で宗教色は無いかな。1曲目が瞑想を経て宇宙へ行くサウンドとすれば、この曲は何もせずとも宇宙へ連れていってくれるコンピューターといった感じ (ナニイッテンダ)。しかしまぁ、効果音バックに喋ってるだけとかタイクツ。終盤アシッドフォーク調の狂ったボーカルが入ってくると、このまんま効果音だけで終わるのかと思ってただけにちょっと嬉しかったり。
なんというか、珍品というほかないなぁ。真剣に聴けばトリップできそうだがそれより先に笑いが…。胡散臭さやわざとらしさばかり感じてしまう。


(2011.02.14.Monday)

NEW TROLLS


・ALDEBARAN (1978)

プログレバンドとしても有名だがコレはポップ期のアルバムで、いかにもバブル脳のパッパラパーがイェイイェイいって踊り狂ってそうな (テキトー) 感じが少しありますねぇ…。しかしまぁ、歌メロは昔の作品と変わってないし、コーラスやハイトーンのボーカルなどより綺麗で爽やかになっているし、それほど嫌悪感を抱くこと無く聴けました。「Dancing」なんて大人のムードのピアノからギターソロなどでグワッと盛り上がっていくただのポップスとは言い難い曲もある。デビュー期〜プログレ期と比べてもこのバンドの良い所、本質は変わってないみたいだ。


(2013.09.25.Wednesday)


・AMERICA OK (1982)

タイトルはこんなだが爽やかな風の吹くイタリアン・ポップス。
ほんわかしたアコースティック・ギターに少しドラマを感じさせるメロディ、あまりに綺麗なコーラス等、数あるプログレ経由ポップスの中でも頭抜けたセンスを感じさせる。ただ、やはり80年代らしいというか、音が安っぽいんだよねぇ…。それが引っかかってなんとも気持ちよくなれない部分があるなぁ。いや、ホントイイ出来なんだけどね。


(2013.09.25.Wednesday)

NEXT


・THE VIRTUAL CAGE (1994)

様々な楽器をこなすRicky Mazzaなる人物のプロジェクトのようです。VINYL MAGICのNew Prog '90シリーズのひとつ。
ちょっとハードロック寄りのプログレってとこかな。ギターはそこそこ分厚くノリよく弾いている。ボーカルもしっかり歌えているけど、ここらへんだけ聴いているとただの冴えないハードロックにしか聴こえない^^;
キーボードのデジタルな軽さもヒドイです…。うーん良い所の無い作品だなぁ。深みがまるで無いというか。音はともかく、シンフォな展開の6曲目「In The Cage」が一番の出来かな。


(2012.01.08.Tuesday)

NIGHT WATCH


・TWILIGHT (1997)

GENESISタイプ。
細い音で絶妙なメロディを紡ぐギターやボーカルのちょっと妖しげな歌い方などはまんまッて感じ。でも違う部分もちゃんとあって、GENESISよりヘヴィだしそれでいて幽玄さも醸している、そんなサウンドです。ボーカルもよく聴くとピーガブより若々しいし、よく伸びる声で歌い上げる曲も実はあったり。それらが本家を超えるほどの魅力になっているかは別だけど、悪くない出来です。小曲の出来が良くてアルバムの印象を引き締めている。本作後、バンドはボーカル以外一新し、THE WATCHと名前を変えている。


(2014.05.08.Thursday)

NOVA MALA STRANA


・NOVA MALA STRANA (1994)

女性ボーカル要する5人組。
ザクザク刻むギターに姉御肌な感じだったり魔女の如く奇声を発したりするボーカルが乗る。一応、邪悪なヘヴィ・シンフォと捉えることも可能だと思うが、クオリティは低いです。ボーカルは邪悪な演劇性が出ているなどとはとてもいえず、ひたすら素っ頓狂でヘタなだけ。こもり気味の音に加え、曲毎に音質が違うのもどういうことなのか。シンセの唸り具合など勢いがあって悪くない曲もあるだけにもったいないねぇ。


(2014.02.05.Wednesday)


・NEMESI (1997)

音質は相変わらずこもり気味でこれだけでB級C級感プンプンですが、曲のクオリティ、ボーカルの表現力 (魔女っぷりが板に付いてきた) 共にだいぶアップしているじゃないですか。
ゴシック的だったり、微睡む静の部分が目立つようになり、メリハリが出ている。これなら邪悪系シンフォとして十分…とは言わないまでもそれなりに満足感はあるし、耳の肥えたプログレファンでも顔をしかめることはギリギリなさそう……か?


(2014.02.05.Wednesday)

NUOVA ERA


・L'ULTIMO VIAGGIO (1988)

85年結成だというバンド。
朗々と歌うボーカルは熱くはないがいかにもイタリアらしいと思える。リリシズムを醸していたりエキゾチックだったりおだやかだったりするメロディは良いものの、それを奏でる音がすごくチープです…。70年代への憧憬に溢れた作品ですが、ハッキリいってB級ですわ。それ故に褒められはしないが魅力ある一枚でもあります。不思議と微笑んでしまうんですよね、こういうのは(^^)


(2013.03.13.Wednesday)


・IL PASSO DEL SOLDATO (1995)

『兵士の行進』という邦題が付けられたアルバム。
ボーカル兼ギターが脱退し、新たなボーカルが加わってます。この人はギターは弾かないので必然的にキーボードバリバリのサウンドになっとる。で、このボーカル。よりイタリアらしい大仰な歌い方で満足度アップ。キーボードも迫力を増したLE ORMEという感じで素晴らしい。チープな部分はかなり払拭されたといっていいかな。イタリアらしい熱いキーボードシンフォ。好作でしょう!


(2013.03.13.Wednesday)

OPUS AVANTRA


・INTROSPEZIONE (1974)

ボーカルのDonella Del Monaco、キーボードのAlfredo Tisocco、そして哲学担当のGiorgio Bisottoを中心としたバンド。バンド名はOPERA DI AVANGUARDIA TRADIZIONALEという言葉から作ったものらしい。
発狂したようなピアノから一転、美しいピアノ、フルート、弦楽、そして響き渡るドネラのどこか物悲しい歌声。奇声を発するような曲も全体の美しさを際立てる。アブナイメランコリーに溢れ、頽廃した貴族社会を覗き見るかのような雰囲気に浸れる作品です。


(2014.05.30.Friday)


・LORD CROMWELL PLAYS SUITE FOR SEVEN VICES (1975)

邦題は『クロムウェル卿の奏する七つの大罪の為の組曲』。今回Donella Del Monacoは不参加となっている。
あの頽廃した危ない世界はすっかり無くなり、ずいぶんとスッキリした音になった。それゆえに美しい曲と気狂いアヴァンギャルドな曲が乖離してまとまりに欠けてしまったかも。とはいえ、前作の気が重くなるような感じが無くなることで聴きやすくなったともいえるかもしれんし、個人的には同じぐらい好き。七つの大罪の何たるかも知らなかった故に曲名がハガレンのキャラと同じだなーなんて思ってたのは秘密だ^^;


(2014.05.30.Friday)

OXHUITZA


・OXHUITZA (2013)

Fabio Zuffantiがプロデュースした5人組。バンド名はマヤ文明関係。
メタリックではないがそこそこヘヴィなギターと控え目ながら効果的なキーボードが織りなす邪悪系のサウンド。一応、ヘヴィ・シンフォと言っていいのかなぁ。不気味なフルートや邪悪さを浄化するかのメロトロン、時折出てくる深遠なアコースティック・パート、アルバムラストのやたら憂鬱な混沌等、聴いてるともう喜びっぱなし(笑)。ほんの少しコミカルだったりするんですがそれを儀式系シンセが吹き飛ばしたりするのも印象的。ブックレットの闇の女神みたいなイラストもイイなぁ(^^)


(2013.06.27.Thursday)

PAOLO BIANCHI


・NERO SU BIANCO (2003)

Tony Carnevaleの弟子による作品。師匠もゲスト参加している。
非常にストレートな音楽性で、プログレというよりはメタル系のインストアルバムとかプログレやメタルに影響受けたゲーム音楽みたいなそんな趣(笑)。何度も聴き返そうとは思わないレベルではあるけども、素直にカッコイイ部分もある。結構ヘヴィかつデジタリーな、プログレとはまた違った方面の今風な音像はクラシカルなメロディと合わない気がするなぁ。


(2012.11.03.Saturday)

PAOLO RUSTICHELLI & CARLO BORDINI


・OPERA PRIMA (1973)

オペラ歌手と映画音楽家を両親に持つキーボード奏者 パオロ・ルスティケッリがGOBLIN人脈のドラマー カルロ・ボルディーニと作り上げた、キーボードシンフォニック作品。
最初に飛び出す軽やかでカラフルな演奏に心奪われました。シンセで代用したベースも重低音効いてて快感! その一方、ボーカルはえげつないダミ声(笑)。演奏とは真逆を行くマヌケさが感じられてう〜むってなっちゃいますが、この声が功を奏した曲もある。 「Un Cane」 がそれで、このボーカルじゃなかったらここまでの悲壮感絶望感は出なかったでしょう。パオロはこの時まだ10代だったそうで、それでこの声は変な意味で貫禄ありすぎてビビります……。好きか嫌いか自分でもよくわからないボーカルの存在に困ってしまうけど、なんだかんだイタリアン・ロックの中でも大きな輝きを放つ逸品だと思うのです。


(2020.10.20.Tuesday)

PENSIERO NOMADE


・PER QUESTI ED ALTRI NAUFRAGI (2008)

GERMINALEというバンドのギタリストSalvo Lazzaraによるプロジェクトとのこと。
全編アコースティックな音楽となっていて、イタリア的というか、燦々と太陽が降り注ぐようなイメージの曲ばかりとなってます。PFMのPeninsulaみたいな曲が続くという感じ。うーん、一曲一曲はいいけど、アルバム全体聞くにはしんどくて途中で飽きるかな^^; 単純人間だから、もっと派手なところが欲しいと思ってしまった。


(2020.07.18.Saturday)

PREMIATA FORNERIA MARCONI (PFM)


・STORIA DI UN MINUTO (1972)

イタリアン・ロック、プログレ代表格。邦題は『幻想物語』
白昼夢の如き幻想性に溢れた作品で、イギリス勢と違って湿った感触がないのが初めて聴いた時新鮮だったし、たちまちこのサウンドの虜になった。曲の幅は広い。楽しく踊るような曲、燃え上がるピアノがリードする曲、これだけ微睡みながら、ロックなりのパッションも随所に感じられる。でもやはり幻想が全てを包み込んでしまう。この絶妙な感覚が良かったんだと思う。あと、ボーカルに関して、音外さないように丁寧に歌っていればそれでいいやって私が思うようになったのはこの作品の影響かもしれん^^;


(2013.08.17.Saturday)


・MISS BAKER (1987)

時代的にポップなんだろうな〜と思いつつ聴き始めてみると、アレ? イケるかも!?ってなって驚いた。
ポップではあるし、初期のような憂いある微睡みメロディは望めないが、『CHOCOLATE KINGS』の頃と比べればメロディの癖、質なんかは全く変わっておらず、ああ、PFMだなぁなんて、安心して聴けますね。派手だけど大人のヨユーなんかも感じさせる演奏が素晴らしいです。ギターやヴァイオリンがエキサイティングかつ美麗に響く3曲目「Finta Lettera Di Addio Di Una Rock Star Per Farsi Propaganda」と、それに続くキーボードの音色がとっても良い4曲目「Josephin Baker」が特にサイコー!


(2015.08.14.Friday)

PICTURES


・PAINTING THE BLUE (1997)

トリノ出身だという6人組。
1曲目が伸びやかで哀愁あるギターが曲を引っ張る、GENESIS等の伝統を内包したなかなか出来のいいシンフォで期待させといて、その後は多少装飾過多な80年代〜90年代のポップ/ロックな感じの曲が目立ち、若々しいボーカルはイイんだけど…ってなった頃、そんな雰囲気を一変させる5曲目に驚くことになる。美しさの中にもどこか荒廃した世界を思わせるこの曲、名曲じゃないの。アルバム後半は退屈さを感じさせること無く、目の覚めるようなシンフォニックな展開が多く聴ける。全体をこのクオリティでまとめてほしかったところ。


(2013.07.23.Tuesday)

PIERROT LUNAIRE


・GUDRUN (1976)

様々な楽器をわずか二人で担当。アヴァンギャルドな演奏にオペラ風というか、正気を疑うような女性ボーカルが乗り、なんだかOPUS AVANTRAっぽいと思ったりする音楽性。
でもよく聴けばだいぶ違うな。退廃した闇を見せつけてくれたあちらに比べ、こっちはよりミニマルで実験音楽っぽい。それでいて絵本を読む際のBGMにしても良さそうなぐらい穏やかで美しい、また可愛らしい旋律も散見。こういう要素があるとアヴァンさも映えますよね。一曲目のタイトル曲が名曲!


(2016.02.23.Tuesday)

PLURIMA MUNDI


・ATTO I (2009)

女性ボーカルやヴァイオリン奏者を含む6人組。4曲26分ほどのミニ。
優雅に始まり、一転踊れや踊れやのお祭り状態に (PFMのE Festaみたい)。そしてムーディーなジャズピアノ。短い内にコロコロ切り替わる1曲目がすごくいい。どの曲も曲調の変化は激しいけれど、ややこしくなくストレートな感じは変わらない。それが大きな魅力になっている。ラスト曲はOSANNAのLino Vairettiが参加し、女性Voとのイイコンビネーションを聴かせてくれます。


(2013.09.22.Sunday)

ROHMER


・ROHMER (2008)

FINISTERREのメンバーによる作品。
イマドキなポストロックからの影響を感じる音でもってゆったりまったり可愛らしいメランコリックな世界を描く。FINISTERREも初期の叙情派シンフォを捨てて機械的というかポストな世界に行ってたわけですが、本作はその路線を推し進めた感じでしょうか。とはいえ、ポストだエレクトロニカだいっても、ここでは機械的な冷たさはあまりない。むしろ暖かいのがイイです。フルートやサックスが響くと、なんだか熱狂的なんてのとは違ったイタリアらしさ、都会の夜のようなオサレな雰囲気がある。ラストの大曲はピアノを中心に不気味に蠢き、それでもメランコリック。実にいいですねぇ。


(2012.10.15.Monday)

ROMANTIC WARRIORS


・BATTLEFIELD (1993)

ARTI E MESTIERIのキーボード奏者、Beppe Crovellaのプロジェクト。ドラムのFurio Chiricoも参加。遠目にはファンタジックでヨサゲに見えたジャケ…実際に近くで見るとショボすぎて泣ける。
ROMANTIC WARRIORSなんて名前からはジャズなサウンドを予想するけど、実際はいかにもキーボードシンフォな派手で激しいキーボードが中心で、あまりヒネりのないストレートなシンフォって感じです。いくらでもあるようなスタイルだけど、さすがにBeppeの演奏は存在感がある。まぁ、どういうのがBeppeらしさなのかはわからないですけど、爽快かつ手に汗握る見事なキーボードワーク。しっかりオリジナリティがあるように思います。一方FurioのドラムはARTI E MESTIERIのような手数の多さは無く、こういうベタなシンフォでは持ち味を発揮できないでいる感じ。でも力強いドラミングって気がしますね。戦争モノ (?) らしく勇壮な曲もあれば、アコーディオン (コレ弾いてるArturo Crovellaって人はBeppeの血縁者ですかね) が郷愁を誘う印象的な曲もある。 全体的にくすんだ音質は残念かな。


(2013.01.10.Thursday)

ROSOLINA MAR


・ROSOLINA MAR (2004)

ポストロックとかマスロックという触れ込みだけど、ジャジーなわりと落ち着いたロックが基本。コミカルさもありつつ、爽やかなメロディが心を洗ってくれます。
でも、爽やかといっても音自体はくぐもった感じなのでそこはポストロック風か? 細かく複雑な曲でもあり、そういうトコはマスロックっぽい? いまいちピンと来ないなぁ。酔っ払ってるとしか思えないスローな曲が面白かった。


(2019.06.19.Wednesday)

SEMIRAMIS


・DEDICATO A FRAZZ (1973)

邦題は『フラッツに捧ぐ』。バンド名はアッシリアの女王らしい。フラッツってのはメンバーの頭文字を並べたもの。
イタリアン・ヘヴィ・シンフォの名盤の一つ、と言われており、ヘヴィパートとたおやかというか、静のパートがせめぎ合う感じで曲調の変化が半端ない。暴走シンセとおもいきやPFMばりの地中海ギター弾きだしたり。2曲目なんて、キチガイじみた展開ですごく良いよ^^;
ちなみにボーカル兼ギターのMichele Zarrilloはポップス歌手をしてて、来日したこともあるそうですね。


(2012.10.06.Saturday)

SEREN ROSSO


・HENRY'S LIFE (2011)

このセレン・ロッソって人はシンガーソングライター的な人らしく(見た目はただのおじさん)、根幹は歌モノポップスです。
しかしながらARTI E MESTIERIBeppe Crovellaが全面的にキーボードを担当しており、メロトロンによるフルートやらが聴こえまくり。単純な私は何度もおお! と感動してしまいますw。セレンは無難な歌声で特に大きな魅力はないが悪くない。歌詞は英語だが、イタリアの風を感じられる心地良く哀愁漂う一枚。時折入る女性コーラスが古臭いのが難点だけど、プログレ・ファンに訴えるところ大な作品ですよ。


(2013.09.20.Friday)

SPIROSFERA


・UMANAMNESI (1996)

ドラム、ベース兼キーボード、ギター、ボーカルの4人組。
いかにもヘヴィ・プログレなテクニカルで不気味なバックにイタリアらしく大仰かつ邪悪に歌いあげるボーカルが乗る。往年のヘヴィ・シンフォ系の邪悪さとBANCOのおおらかでよく伸びる声を合わせ、さらにはAREAばりの気持ち悪い (褒め言葉) ヴォーカリゼーションまで聴かせるのだから、圧倒的だ。演奏は熱く暴走するだけでなく、ちゃんと計算された理性を感じさせるのがポイント。サイケ的な不気味さが支配し、ドゥーミーなリフまで登場する8曲目「Un Tempo Lontano」、ちょっとアラビックな味付けがあって、アヴァンギャルドに終わるラスト曲、この辺りが特にお気に入りかな。


(2013.09.25.Wednesday)

TALE


・SENZA FRONTIERE (1994)

Michele Taleなる人物の作品。ZAUBERのメンバーなどが参加している。
フルートやアコギ、柔らかくも芯の強い女性ボーカル等がファンタジックな世界を見せてくれる。いかにも熱いイタリアらしさはなく、でもしっかりイタリアらしい。そういう意味ではPFMに近いと言えなくもないかも。まぁ、いちばん似ているのはCAMELだと思うけども。けして冴えてる出来ではないものの、爽やかシンフォから少し闇を感じさせる曲まで色々美味しい曲が揃ってます。いや、いい作品に出会えた。


(2012.12.17.Monday)

TEMPORE


・ITALIAN PROGRESSIVE ROCK ENCYCLOPEDIA VOLUME 1 1968/70 Chapter 1 (2002)

ARTI E MESTIERIのBeppe Crovellaプロデュースによるイタリアン・ロックのカヴァーバンド。
年代を見てわかる通りプログレ一歩手前のサイケ色の強い曲が中心で、名前しか知らないなんてバンド名もチラホラ(汗)。知ってる曲だけで判断すると、特に大きなアレンジを加えることなくフツーにカヴァーしている感じ。でもどの曲もサイケらしいカオスに満ちた音像に熱すぎるほど魂の乗ったドラマ性がビンビンに感じられます。マジカッコイイ! 特に殆どの曲でボーカルを担当したMario Allais Vietの典型的イタリアン・ロック・ボーカルに惚れた(笑)。これは是非ともVolume 2を出して欲しいけど10年以上経っても出ないんじゃぁ望み薄だろうナ…。
取り上げられてるバンドを列挙しときます。KREL, NEW TROLLS, THE TRIP, GREEN SOUND, BANCO, LA VERDE STAGIONE, FHOLKS, IL BALLETTO DI BRONZO, I RAMINGHI, IL MUCCHIOです。


(2016.01.29.Friday)

TONY CARNEVALE


・III MOVIMENTO - A DANCE OPERA FOR ROCK-SYMPHONIC ORCHESTRA (2001?)

テレビや舞台で活躍しているらしい音楽家の1999年のアルバム『III MOVIMENTO』と、1995年のアルバム『LA VITA CHE GRIDA』、1990年のアルバム『RISONANZE』を収めた3枚組。検索してみると本作は2001年発売としているところが多いが、2000年発行のユーロロックプレスに既にレビューが載っており、よくわからない。
1枚目のIII MOVIMENTOはオーケストラ (本物ではないと思うが) 含めクラシカル、シンフォニックかつハードに疾走もしちゃうドハデさが感動的なまでにタマラナイ作品。展覧会の絵もやっているが慎ましやかな部分とギターを中心としたロック・パートの対比が強烈。民族調で儀式的な異色の曲でも涙腺を刺激するメロディが唐突に現れたりする。ただ、1曲目からドラム・ソロ入れてくるのはちょっとツライな^^;
2枚目のLA VITA CHE GRIDAは本作中最もロック色が強い作品。もちろんオーケストラを用いてのシンフォ旋律に手抜きなど見られず、ロックミーツオーケストラな作品数あれど、これほど流麗な作品はなかなか無いんじゃないかな。麗しいピアノ大活躍な部分が多く、BANCOファン向けかとか思ってたらFrancesco di GiacomoRodolfo Malteseが参加した曲もあるのでした。
3枚目のRISONANZEは映画のサントラを思わせる優美な雰囲気がよく出た作品。ピアノとシンセによるあまりに深い幻想美は鳥肌モノ。しかしただ美しいだけでなく、嵐のような不吉さをも感じさせる。クラシカルな映画音楽にチェンバー・ロック要素を加えたかのように感じた。ところで、本作のみブックレットが付いてなかったんだがもとから? あるいは中古を買ったからだろうか…。あと発表年。裏ジャケでは1991年になっているがCDには1990年と記されている。わからんなぁ。
とまれ、3枚ともクラシカルでシンフォニックという共通点がありつつ、ちゃんと違いも感じさせる懐の深い作品となっている。素人臭くない優れた音作りがされているのも好印象だし、とても良かったです。


(2013.12.04.Wednesday)

TRIADE


・1998:LA STORIA DI SABAZIO (1973)

キーボード、ベース兼ギター兼ボーカル、ドラムの三人組の唯一のアルバム (シングルはあるらしい)。邦題は『サバツィオの物語』。非常に傷みやすい金色ジャケが有名なんだそうだが、私が買ったイタリアン・ロックマスターピースパート1という紙ジャケシリーズのやつは再現度が低いようで特に痛みそうもないような (以前に持っていた韓国盤プラケースのブックレットと同じような紙だし)。一方このシリーズをディスクユニオンでまとめ買いするともらえたボックスは金色の折り紙を貼り付けたものになっており、触れるだけで破れそうな感触だったのでソっとしまっておくことにしたり^^;
初めて聴いた時はチープで迫力の無いELPみたいで期待ハズレだなと思ったんだが、聴き返すとそんな感想は吹っ飛んでしまう出来だった。キーボードと弦楽器 (チェロか?) の絡みには得も言われぬ不気味さがあるし、ピアノは煌びやかさもあるが同時に不穏さと美が浮かび上がったりとELPにはない魅力に溢れてるじゃないの。アルバム後半はクラシカルなキーボード・ロックで、不気味さなどは消え去るかわりに印象的なメロディの宝庫となる。優しいボーカルも沁みるわ〜(*´∀`)


(2015.02.15.Sunday)

UNIVERSAL TOTEM ORCHESTRA


・MATHEMATICAL MOTHER (2016)

RUNAWAY TOTEMというバンドのメンバーによるプロジェクトで、本作が3作目らしい。
最初はイマイチ迫力の無いMAGMAみたいだと思うも、どんどん印象が変わっていく。女性がオペラチックに大仰に歌い上げる場面が多く、MAGMAよりずっと美しいというか、MAGMAと比べるもんでもないというか。このボーカルがちとフワフワした声でスゴく魅力的。バックもピアノが流麗だし聞き惚れちゃうけど、いきなりすごく変な音が鳴ったりしてアバンギャルドです。こういう音には大仰なボーカルが合うんだまた。アバンといっても妖しげかつ美しいメロディ満載なので聴きやすくもあり、ちょっとモッサリ気味なトコもあるけどとても良い逸品!


(2018.04.23.Monday)

THE WATCH


・GHOST (2001)

NIGHT WATCHがボーカル以外一新し、生まれたのがこのバンド。
基本的にNIGHT WATCH同様のサウンドで、GENESISっぽさはより増した感じだ。本当によく特徴を捉えているように感じる。一方でGENESISとは違うボーカルが朗々と歌うパートやなにやら打ち込みを用いたモダンな曲なんかもあって、それがいいアクセントになっている。


(2014.05.09.Friday)


・VACUUM (2004)

GENESISらしさをますます徹底したようなアルバム。
どの曲も一本調子で終わることのない絶妙なアレンジ。シンフォニックに、どこか怪しげに描かれても深刻な雰囲気にならないようにポップさやコミカルさが滲み出てくるあたり、いかにもだし本当に良い出来。GENESISが乗り移ったの如き、イギリスで迎える初めての朝みたいなイメージさえある。これはある意味すごいと思うが、逆にGENESISとは違うこのバンドならではの部分を捨ててしまったかのようで、それは寂しい。


(2014.05.09.Friday)

ZAUBER


・ALIENS (1993)

70年代から活動しているベテランバンドらしい。
麗しのフルートを中心に、凛々しいピアノ等が周りを包む、そんな音。叙情派美旋律シンフォとでもいったトコか、なかなか魅力的なメロディが聴ける。このアルバムの場合、CAMELよりもSOLARISに近いと思える旋律なのがイイ。美しいだけでなく、フルートが疾走するんですな。妙に掴み所のない歌メロとアコースティックの響きが夢想へ誘う2曲目「Paralleli」がとてもイイ曲だ。もう戻れない美化された幼少期…。わかりやすいぐらいスペーシーな始まりに思わず噴いてしまうタイトル曲も変な意味で印象に残る。ソラリスチックなフルートに下世話な女性ボーカル、好き勝手弾きまくるチープでSFっぽいシンセともう、ヤリ放題だ。正直、メロディはそのままに演奏やアレンジがもうちょいこなれていればな、と思わないでもないが、クサイメロディを演るならこれぐらいでイイのかもしれない。


(2013.07.11.Thursday)


・PROFONDO BLU (2001)

こちらのアルバムではギターが目立たなかった前作と異なり、いきなりピロピロ聴こえてくる。チープさのあったシンセも改善され、曲調や音色の幅も広がりハッキリと成長を見せてくれる作品となっている…と言いたいのですが。フルートメインで疾走するのをやめ、じっくり聴かせるスタイルに。フルートに頼る曲作りをやめたといっていい。だが、メロディ的にそれが新たな魅力になっているかは個人的にはビミョーで、結局フルートの重奏が美しく哀しく響く場面が一番惹かれる。新機軸で成功したと思えるのがフルートのみという、ちょっと虚しさを感じる出来だ。70年代イタリアを思わせる悲壮感溢れるVo曲「Il Giorno Dopo」はとてもイイ。NEW TROLLSバリに歌い上げてくれます。ただ、この曲も後半クラシックの引用が入ってきて、しかもそれがダサくてズッコケてしまうんですが。うーん。


(2013.07.11.Thursday)


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