ドイツ プログレ

AGITATION FREE


・MALESCH (1972)

民族音楽とサイケデリックの要素が強い音を聞かせるバンドで、いかにもヒッピーらしく東洋/中近東への憧憬が (デビュー前にはエジプトへ行ったりしたとか)。こういうの好きな自分には脱糞モノのアルバムです。お気に入りはタイトル曲。幽玄かつカッコイイ展開。盛り上げすぎない終盤……素晴らしい! あと3曲目「Ala Tul」ね。冒頭、東南アジアの宗教みたいな精神が持ってかれる音 (いやそんな宗教知らんけどさ)。それがキーボード弾きまくりのロック色のやや強い展開に。うーんなんともアヤシイ。アヴァンギャルド、フリーキーだの言われてるのである程度覚悟して聴いただけにちょっと予想外でした。フツーに音楽として聴けます。キーボードやギターがモロにロックな曲もあるし。とはいえロック色、民族色、サイケ色共にそれほど強いわけでもなくて、このぬるま湯加減がちょうどイイ。


(2011.02.04.Friday)

ANYONE'S DAUGHTER


・ADONIS (1979)

シュトゥットガルト出身だというバンド。
1979年というプログレにとってはビミョーな時期にデビューしながらも、高評価だったらしく名前はよく耳にするし期待しつつ聴いてみる。これが大当たり! 木枯らしのような甲高いキーボードが特徴になっていて、甘いギターと優しく色っぽいながらも強いヴォーカルも最高。メロウだなと思ってたら、急激に終焉へ向かうごとく怒涛の展開を見せたりして凄い。全体的にとても繊細で綺麗な音なのが、ナイーブな心を慰めてくれるかのようで良いです。ボーナスとしてライブ音源が入ってまして、デビュー前の曲だからかギターがややレトロ感あって、そんな違いも楽しめますねぇ。


(2019.04.04.Thursday)


・ANYONE'S DAUGHTER (1980)

アルバム『ADONIS』においてその端正で美しいシンフォニック・ロックサウンドですっかり魅了されたわけですが、本作はだいぶ傾向が違いまして、歌が増えてかなりポップになってます。これがまた良い! 基本爽やかな曲に色っぽいヴォーカルが乗るというスタイル。キーボードは前作同様の冷たくも暖かさを感じる音で、雪国のよく暖房が効いた部屋みたい (なんじゃそりゃ)。どの曲もキーボードのソロが良いメロディばかりで印象的。変わっても繊細な音というのは共通で、やはり本作も気に入りました!


(2019.04.04.Thursday)

ASHRA


・NEW AGE OF EARTH (1977)

ジャーマン・ロック界隈では有名なギタリスト (シンセ奏者?) Manuel Gottschingによるアルバム。
なんともハートフルでひたすら幸せな気分にしてくれる前半、有無をいわさぬ圧倒的なイマジネーションを喚起する後半と、ホントに素晴らしいですね。聴いてると心地良すぎて眠ってしまう笑。快楽と緊張を与えてくれるこの感じ……エレクトリック系プログレの中でも屈指の名盤だと思います。


(2015.06.09.Tuesday)

BLIND EGO


・NUMB (2009)

現代プログレの中でも名をよく知られるRPWLのギタリストKarlheinz Wallnerのサイドプロジェクトとのこと。
IQARENAIT BITESという英国のプログレ有名バンドのメンバーが参加しています。聴こえてくるのはザクザクのギターリフ主体で音自体は重くはないが曲調はハードロックかメタルかといったところ。よく見たらSEPULTURAの人も参加してるしそんなつもりで作ったアルバムなのかも。元ARENAの人による冷めたボーカルがイイ感じ。この曲調で熱くならないってのがイイのだ。でも正直な所、聴いててダレました。ダラダラと長いわ。適度に静かなパート、曲も挟まるのでそこには耳が行くけど。


(2019.08.02.Friday)

CAN


・TAGO MAGO (1971)

現代にまで大きな影響を与えているという大御所。
雑誌などでひたすら大仰に書かれたレビューなど目にしており、一体どんだけグニョグニョデロデロの実験的な作品なんだろうと興味津々だったんですが、いざ聴いてみると……う〜んわりとフツーの当時流のロックのような。ちょっとスペーシーな音が聞こえてくるぐらいで、そんなに構えずとも聴けるアルバムだね、なんて最初は思ったんですが、アルバム後半に入る頃にすさまじいグニョグニョ曲が聞こえてきました笑。自由極まりなくてイイですね〜。


(2015.06.09.Tuesday)

COSMIC JOKERS


・COSMIC JOKERS (1974)

このプロジェクトは1974年の内に5枚のアルバムを出しているのですが、出た順で言うと本作が最初とのこと。
先に聞いた『GALACTIC SUPERMARKET』と同様の、軽い音で宇宙を描いています。といっても違いもあって、こちらはほとんど毒がありません。カオスな狂気が感じられない、とことんまで優しい世界となっている。アルバム後半はいわゆるロック色のないシンセミュージックなのですが、こちらも同系統の代表たるTANGERINE DREAMKlaus Schulzeに比べ、異常なまでフワフワ宇宙になっている(笑)。聞いてて幸せな気持ちになれるが、全てはドラッグが生み出したものなのかねぇ。


(2020.2.1.Saturday)


・GALACTIC SUPERMARKET (1974)

Manuel GottschingKlaus Schulzeなど有名ミュージシャンが集ったプロジェクトで、サイケでSFな音を聞かせてくれます。
全くヘヴィさのないフワフワの音ではあるんだけど、かなりカオスでノイズなバックの上を狂気の女性ボイスが舞っていたりする場面はなかなかにアブナイ。でも意外と端正なピアノがミスマッチな面白さを醸していたりして、わりと音楽として聞くことが可能だったり笑。
その宇宙を感じさせる音は今となってはレトロとしか言い様がないんだけど、まぁ、昔の人が思い描いたフューチャーってヤツも楽しいですよ!


(2020.1.17.Friday)

DOM


・EDGE OF TIME (1972)

サイケデリックかつアコースティックな世界を響かせる一枚。わずか500枚だけリリースされ、昔はプレミアがついていたが音と値段が釣り合った珍しい例として評価されたとかなんとか。
電子音、アコースティックギター、フルートなどなど、全てが虚ろで無気力さを放出しており、サイケで実験的なフォークといった趣。とっても、イイ! アコースティックに重点が置かれていることもあって、自然の中へ連れて行かれるような感覚がある。でもそれが森なのか海中なのかわからない混乱をもたらしてくれる不穏な音でもあるのがイイのです!


(2020.10.20.Tuesday)

EMTIDI


・SAAT (1972)

美しくどこか心ここにあらずな女性ヴォーカルによるフォークといったところだけど、シンセやメロトロンなど多用して異次元で奏でられているような趣の名作。
特に3曲目の 「Touch the Sun」 の異様なアッパー感がスゴい。聴き終えた時の別世界にたどり着いたかの如き感覚! トランスどころかアセンションだ (アホ)。やけくそフォークで始まり、一気にドイツらしいシンセミュージックに突入していくラスト曲もなかなか。男性ヴォーカルはちょっと粗雑な感じであんまり好きじゃないけど。


(2018.11.22.Thursday)

EPIDAURUS


・EARTHLY PARADISE (1977)

ギリシャの古代遺跡からとられたバンド名だろうか。いかにもジャーマンマイナーシンフォらしい野暮ったさがあるけど、背後にうっすらと流れていたメロトロンがゴーッと全体を包み込むように主張し始めると野暮ったさなど吹き飛んでしまう。ウマイなぁ。基本ファンタジックで異世界へ誘われるような雰囲気抜群。流れるようなドラマ性と効果的なフルート! ヴォーカル (女性) は弱いけど、気にならないくらい曲が良い。B級っちゃB級だけど、これは聴くべき名品。モノクロジャケの風景も素朴でイイなぁ。


(2012.06.30.Saturday)

HOELDERLIN


・CLOWNS & CLOUDS (1976)

ジャーマンプログレとしてはそこそこ知られたバンドの3作目。
1作目の幽玄フォーク・プログレ路線を愛してやまない私ですが、KING CRIMSON辺りに影響されたステロタイプなプログレに舵を切った2作目からもなかなかイイですよ。さて今作、演奏よりも雰囲気作りに重きを置いたシンフォという感じですが、冒頭2曲の出来が悪い! 無駄にコミカルでポップな感じを出そうとして失敗したみたいに退屈でして……。やはり真骨頂は3曲目「Circus」から。明るさはそのままに、上手い展開。4曲目「Streaming」は今で言うポスト的な浮遊感がイイ。そして一番の名曲が5曲目「Phasing」だ。広い庭で優雅にくつろいでいると、突然世界が壊れる。でも余韻は悪くない。というわけで、冒頭2曲以外は実に良い出来の一品!


(2013.06.23.Sunday)

MYTHOS


・MYTHOS (1972)

冒頭から牧歌的なフルート (ヘンデルの曲で、ややヨレ気味) が聴こえ、妙に和む。以降はいかにもなサイケサウンドになります。2曲目の「Oriental Journey」は東洋宗教的な曲。フルートも吹きまくりだがあくまで東洋的な旋律を貫く。野太いのに霞がかったヴォーカル含め、静かに覚醒していく感じが心地いい。3曲目の「Hero's Death」HAWKWINDを頼りなくしたみたいな当時流のスペースロック。トリップ用効果音たっぷりです。中盤のメロトロンが最高。4曲目〜5曲目の「Encyclopedia Terra」は異空間にたゆたうような曲。混沌さもあり。途中のサイレンはマヌケだが、終盤は美しい……。サイケとはいえ、爛れてるだけじゃなく美しいパートを挟んでくるから聴き手としてはトリップ中に幾度も目が覚める。単なるサイケとは言い切れない良さがあるのです。


(2011.02.17.Thursday)

NEUSCHWANSTEIN


・BATTLEMENT (1978)

1971年にフェルクリンゲンで結成されたというバンド。
GENESISフォロワーとして有名だそうで、確かに癖のある歌い方やメロディへのこだわりなんか、よく似ている。そしてどの曲も良い! 流れるようなキーボードとか目を閉じれば草原に立っている気分にさせられるとか、ホンマええなぁ。ちゃんとGENESISとの違いもあって、一番感じるのはフルートの量だな笑。本家より明らかに登場量多くてニヤニヤ。哀感に溢れていたかと思えば、途中怖いぐらい混沌として意識変えてくれたりするのも本家にはない良さかも。代用品のレベルを見事に超えた逸品!


(2019.03.21.Thursday)


・ALICE IN WONDERLAND (2008)

21世紀のリリースとは言え、いわゆる発掘音源というやつで、1976年に録音されたもの。『BATTLEMENT』より前の音源である!
わりと明るくハキハキしたインストがメインでして、そう、本作はナレーションはありますがヴォーカルはほとんど無いのだ。しかもわずかに聞こえるそれはピーガブタイプではないという。そんな感じでGENESIS色は『BATTLEMENT』より大幅に少なく、フルートやシンセのファンタジックな音でもってアリスの不思議世界が見事に描かれていく。凛々しくカッコイイ場面もあるし、ジャジーなトコなんて、こんなことも出来たんかって驚かされる。音質は悪いけど、これも名品!


(2019.03.21.Thursday)

NOVALIS


・BANISHED BRIDGE (1973)

ジャーマン・シンフォ代表格ともいえるバンドの『夢幻のかけ橋』という邦題が付けられた作品。バンド名はドイツ・ロマン派の詩人から採ったとか。とても元気で明るいオルガン主体ながら、いかにもプログレ前夜って感じのアート・ロック、オルガン・ロックではなく (そりゃ年代的に当然か)、劇的なパートが挟まっていてカッコイイですねぇ。ここぞって時に耳をつんざくシンセが登場し、その使い方も素晴らしい。次作以降の夢幻性みたいのはまだまだ薄いものの、メロディ一つ一つをみれば後に使われてもおかしくないレベルのものも見られる。なかなか気に入りました。一番印象に残ったのは1曲目途中の亡霊のような声だけど。怖いって(笑)


(2012.07.20.Friday)


・NOVALIS (1975)

邦題は『銀河飛行』『蒼き儚い夢』ってタイトルで売られたこともあるらしい? なんか曲のタイトルとその邦題との乖離がスゴイことになってる。よくドイツ・ロマン派シンフォなんて言われるバンドですが、このアルバムを聴いているとそれもよくわかる気がする。幻想とロックらしさの同居。その幻想は少女的なものでなく、男性の夢想といった感じで心に沁みます。ちょっと捉えどころの無い曲もあるんですが、別にイイです。ブルックナーを引用した4曲目「Impressionen」が名曲。幻想を残したまま、ムチャクチャ盛り上がります。私の聴いた紙ジャケCDではこの曲のライブヴァージョンがボーナスで入ってて、コレがまたイイんです。スタジオ以上に盛り上がる構成になってて感動必死。必聴でしょう!


(2012.07.20.Friday)


・SOMMERABEND (1976)

邦題は『過ぎ去りし夏の幻影』。パリッシュをジャケットも含めて素晴らしい雰囲気があります。最初はなぜかあまりピンとこず、前作のほうが上だなとか思ってしまったけど聴くたびに好きになっていった。大曲ばかり3曲収録。前作の良かった部分をより発展させた感じか。アルペジオバックにドイツ語で朗々と歌われると誰しも彼らの描く夢幻世界に入り込んでしまうことでしょう。これぞまさに幻想ロマン笑。随所に水音が聴こえ、涼しげで夏に聴くにモッテコイ。傑作でしょう!


(2012.07.21.Saturday)

POPOL VUH


・AGUIRRE (1976)

ジャーマン・ロックを代表するバンドの一つ。ヴェルナー・ヘルツォークの映画「アギーレ 神の怒り」のサントラ。初CD化の際に内容がだいぶ変えられたらしいが、2004年の再発CDはオリジナルにボーナスを加えたものって認識でいいのかな? とりあえず私が聴いたのはそれです。
いわゆるエレクトリック系プログレで、随分と静かで動きの無い音楽です。でも静かだからこそ、神聖な音色が際立つといいますか、光を求めて昇りつめていく感覚がたまりません。この宗教的高揚感みたいなのはEMTIDI『Saat』と似たものを感じる。残念なのは一番の大作の 「Vergegenwartigung」 が長いだけでツマラナイこと。でも他の曲は感動できますよ!


(2016.01.21.Thursday)


・MESSA DI ORFEO (1999)

イタリアで1998年に行われたタイムゾーンフェスティバルに出演した際の音源を元に作られたという作品で、おそらく彼らの最後のアルバムになったと思われるもの。邦題は『オルフェオのミサ』
いきなりの陶酔した女性ヴォーカルに期待が高まるが、続くのが女のつぶやきで興を削がれる。メインとなる曲は清廉で深みも感じられる昔の彼らのアルバムとさして変わらないもので、あまりにも抑揚がないがじっくり聴けば心はいつしか別世界をたゆたってそうなくらい良い雰囲気です。問題はやはりつぶやきですよ。Strofa (詩節) と名付けられたつぶやきが9曲中5曲ですからね。これが退屈でもう……。多くの曲で聞こえるハエの羽音もちょっと不快かも。


(2016.01.28.Thursday)

SARIS


・CURSE OF TIME (2009)

1981年から活動しているというバンド。男性、女性ヴォーカル擁する5人組。
ギラギラしたキーボードにヘヴィ・メタリックなギター、わりと達者なヴォーカルと、かなりストレートでカッコイイシンフォニック・ロックです。かなりヘヴィめではあるんですが、よく耳を凝らせば面白い仕掛けもあちこちにあって、単にストレートなだけではないと思わせられるし、結構好きかな。大袈裟でクサい悪の美学を盛り込んだクラシカルさが印象的な大曲「Miracles」がスゴイ。


(2013.09.28.Saturday)

SERGIUS GOLOWIN


・LORD KRISHNA VON GOLOKA (1973)

当時のジャーマン・ロック元締めRolf Ulrich Kaiser主導で行われていたコズミックセッションの1つ。有名所ではKlaus Schulzeの名も見える。当時の若者らしく神秘なるインドをテーマにしようとして呼ばれたのがそっち方面に造詣の深いスイスの作家Sergius Golowinだったってことらしい。東洋的な旋律が中心なのは当たり前として、さして感覚的なものではなくメロディはしっかり構築されている感じで、アシッド影響下なのかもしれんが混沌とはしてないので聴きやすいんじゃないかな。全体の流れもよく考えられている。2曲目のみお花畑な曲だけど、これはこれで悪くないし。インドでかつ宇宙を感じられる名品に仕上がってます。そういやラーマーヤナだったかマハーバーラタだったかインド叙事詩って超古代の宇宙船だのが描写されてるとかってオカルトでは定番だし、そうなるとサイケと相性良いのも当然か。


(2012.07.16.Monday)

SPACE DEBRIS


・PHONOMORPHOSIS (2014)

ドイツはオーデンヴァルト出身だというバンド。
往年のクラウト・ロックの復権を目指しているそうで、聴こえてくる音はサイケでレトロなロックサウンドだ。疾走したりはせず、ダラダラした部分がほとんどだが、オルガンだけ聴いてるとハードロック調とも思え、そのアンバランスさが面白い。20分近い大作ばかり収録で、ずっとゆったり進むのでいくらなんでも緩急無さすぎと思わないでもないが、ほんのりオリエンタルな旋律が出てくるのもイイし、いかにもサイケらしいトリップ感が味わえる良作かと。


(2015.06.12.Friday)

STERN-COMBO MEISSEN


・STERN-COMBO MEISSEN (1977)

ドイツはドイツでも共産圏は東ドイツ出身のバンド。本作はファースト・アルバムにしていきなりのライブ盤となっている。
キーボード中心だけどハッキリシンフォニック・ロックと言えるタイプではなく、冷たくくぐもった音色でスローテンポが目立ちTANGERINE DREAMめいた雰囲気すら漂わせている。そんな神秘の世界に響くボーカルはロックなものだったりして独特です。ゆったりした音の中でもキーボードは熱く煌めいている。禿山の一夜がとても良い。スペーシーシンセやり放題のアレンジ!


(2019.10.18.Friday)


・WEISSES GOLD (1978)

2作目で初のスタジオ録音盤。
ややどんくさめであったファーストとは雲泥の差のシンフォ作。けっして激しくも派手さもない音なんだけど、ボーカル/コーラス/語りも含めてとびきりの重厚さがある。錬金術師テーマということで歴史的な重みすら感じられる文句なしの傑作!


(2019.10.18.Friday)


・DER WEITE WEG (1979)

このバンドといえば2ndか4th……本や雑誌の紹介を見ても載るのはその二作だけという感じで、この3rdは音楽性が違うってことかな?なんて思ってたんですが、聴いてみると……まぁちょっとポップかなぁくらいの出来でした。シンフォの醍醐味みたいのは減じているのは確かなんですが、スペイシーかつ不気味さもあるキーボードバックに男らしくも優しいボーカルが乗るのがイイです。クラシックのアレンジもあるけど、1stの禿山の一夜に比べると冴えないかな。


(2019.10.18.Friday)


・REISE ZUM MITTELPUNKT DES MENSCHEN (1980)

バンド名をSTERN MEISSENと短くしての4th。
傑作2nd同様のシンフォ作ですが、ジャケットの印象もあって宇宙的な音に変化したと感じる。正直、緊張感や得体の知れぬ深遠さなんかは2ndに比べだいぶ劣る印象。Keith Emersonがやりそうなピアノ曲に冬の属性を与えたような曲が素晴らしい。


(2019.10.18.Friday)

WIND


・MORNING (1972)

あまりに柔らかで水彩画の絵本というか、ファンタジーというよりメルヒェンというか、そんな感じの世界。なんか荻原征弥さんの竜剣伝説が思い浮かんでしょうがないんだが。とりあえず1曲目から5曲目までは聴く価値あり! 特にメロトロンなどを用いて優雅に盛り上がる2曲目と3曲目は名曲と言っていいかも (2曲目の邦題は「王妃と吟遊詩人」だが対訳読む限り「王女と吟遊詩人」が正しいのでは……)。正直なところ、やや爬虫類系のヴォーカルの声質は嫌いなんだけど、それを取り巻く装飾が見事なのです。細かな部分でセンスイイと感じさせる演奏、メロディ。メロトロンの使い方も抜群だ。6曲目以降は当時流の粗雑なロックって感じでアルバムの雰囲気ぶち壊し。でも久々に聴いたらそんなには悪くないような気もするが、まぁ前半とは比ぶべくもない。


(2012.07.03.Tuesday)

YATHA SIDHRA


・A MEDITATION MASS (1974)

Fichter兄弟による東洋への憧憬と幻想に溢れた一枚。17分に及ぶ1曲目が大変いい。怪しげな東洋幻想も感じさせつつ、フルートが舞うあまりに美しい曲です。目に浮かぶは紫煙煙る山……そこには仙人が住まう……などと謎ポエムを詠みたくなる程にステキw。不健康でなく、トリップ出来ます。つーか、単に美しい音楽として鑑賞可能。ただ、3曲目はノリノリで楽しいジャズ・ロック色が出てきてちょっと違和感アリ (まぁジャズ色は2曲目からも感じるんだけどまだ怪しさが残っていた)。で、結局途中から1曲目の路線に戻ります。うーむ、瞑想だけではイカン、たまにはハイにならんとってことでしょうか。まぁなんや知らんが、東洋志向ジャーマン・ロックの中でも高ランクな作品なのは間違いないでしょう! なお、Fichter兄弟はこの後、DREAMWORLDというバンドでアルバムを残しているそうです。


(2013.03.26.Tuesday)


ProgPsycheLove … since 2012
inserted by FC2 system