スイス プログレ

DEYSS


・AT-KING (1985)

1978年結成で、VoもDrもゲストという編成のバンド。1作目。ジャケットからもなんとなくわかる通り、GENESISフォロワー、ポンプ・ロックなんて呼ばれるタイプ。アルバム序盤は大丈夫かコレ!?ってレベル。ショッボイマシン・ビートに雰囲気だけポジティヴでファンタジックだけど耳に残らないメロディ、癖は少ないが素人臭い声質のVo。典型的なダメシンフォです。でも3曲目からはね、結構いい部分もある、と同時にこの作品の弱点がハッキリしてくる。それは躍動感のある曲ほど平坦になってしまうこと。逆に言えばじっくりメロディを紡ぐ部分はそれなりに魅力的ってこと。ギターがメロディアスに主張し、フッともの寂しい展開に入ったりと、そういう切り替えが効果的です。歌メロも結構印象的なものが出てくる。王を暗殺しようとする道化、みたいなジャケとは裏腹に、王を称えるような曲調があるのも面白いんじゃないかな。5曲目なんてRPGで王様の前で流れるような曲ですよw。ま、全体としては魅力の無いパートのほうが多いですけど、なんとも似合ってない騎士コスプレのメンバー写真含め、レベルは低いが微笑ましい一品ってことで、ちょっとだけ好きかな。


(2013.04.26.Friday)


・VISIONS IN THE DARK (1987)

驚愕の2作目。いきなりサイバーパンク的というか、近未来シンフォな曲で始まって新鮮。ダークさを入れ込んだ楽曲の良さときたら! 以降は前作の路線になっていきますが、今作では平坦さも無くなり、VoもどうどうたるGENESISタイプといえるほどになっている (まぁ前作とは別の人だが)。演奏や音質も良くなり、気品すら香り立っている。只事ではないほどレベル上がってマス! そしてアルバムラストではビックリするほど流麗なインスト主体のシンフォの名曲を聴かせてくれる。うーんこれはまるで『SELLING ENGLAND BY THE POUND』の如きアルバム構成ではないか。ちょっと、感動したな。GENESISフォロワーの中でも屈指の名盤でしょう!


(2013.04.26.Friday)

DRAGONFLY


・DRAGONFLY (1982)

シンフォニック系? たぶん唯一作 (なんでも正規のライブビデオがあるらしいのですが?)。日本盤紙ジャケ、歌詞は載ってないのに対訳は載ってたりする曲があります。へんなの。昔の自主制作ながら名盤として有名ですよね。発表時既に解散の危機にあったそうで、それを踏まえて4曲目の歌詞など見ると泣ける。アルバム序盤は悪くもなく良くもなくって感じ。YES辺りをより躍動させたかの演奏はイイし、PFM風のメロディが出てきてプログレファンならイイ意味でクスッと笑える。歌メロが印象に残らないのが残念。本作を名盤たらしめているのはやっぱタイトル曲だ。煌めくピアノに抑え気味の歌 (そう、この曲は歌メロもイイ)。品性とロックらしさでせめぎ合うかの中盤以降の展開。どことなく王宮への帰還を思わせる (?) メロディ。うーん名曲だ。アルバム以前に録音されたボーナス曲もイイぞ。特に唯一70年代の録音の「Humdinger」はタイトル曲の次に”いわゆる”プログレな曲で、チープな音ながらイイですね。なんかドイツのマイナーシンフォ系っぽい感じで。


(2012.07.03.Tuesday)

ISLAND


・PICTURES (1977)

ヴォーカル、ドラム、キーボード、管楽器という変則的な編成のバンド (ベースはベース・ペダルを使用とよく言われるが、ドラマーは否定していたりとよくわからない)。
VDGGをおもいっきり無機的にしたようなサウンドで、感動したり、カッコイイと思ったりできるメロディは皆無。その代わりにとても緻密で怖い世界を構築。前衛的で、テンション高く冴えまくり。でも別に激しい音じゃないという、なんか奇跡的な音。とんでもないものを聴いているような感覚になるし、実際凄い作品だ。ギーガーのアートワークも音にハマりすぎです。キーボード奏者にとって本作は黒歴史らしいがw


(2014.01.19.Sunday)

SISYPHOS


・MOMENTS (1997)

てっきり若手のバンドだと思っていたが、調べてみると80年代前半にはアルバムデビューしているベテランで、本作は7作目かそこらと思われる。テクニカルなヘヴィ・シンフォといった感じで、私の苦手なガチャガチャ細かい系の部分も多いが、それだけで曲が終わることはまず無く、緩急付いているので退屈さはないかな。ただ、テクニカル系の宿命か、歌メロにまるで抑揚がなくてしっとりピアノバラードな曲でもVoはまるで印象に残らないのよね…。そんな残念な部分もあるとはいえ、幻想叙情などよりロックらしいカッコよさに主眼を置き、鮮烈な演奏が襲い来るなかなかの逸品でした。

余談ですが本作、裏ジャケなど見ても曲順がわからない。一応、上から順に曲目が並んでおり、各CDデータベースに登録した人もそれに倣ってしまったようだが実は間違い。歌詞と照らし合わせるに正しい曲順は 「01. Moments, 02. The Face, 03. Heart Attack ('92), 04. Martins Garden, 05. Nothing to Loose, 06. Hiakultake, 07. Absurd Thought, 08. Turn Around, 09. On the Beach, 10. Parents, 11. Cypress Curtain of the Night」 です。こういう基本的なことが出来てないバンドはちょっと心象悪いな。


(2013.07.28.Sunday)


・PARAPHERNALIA (2004)

いきなり『MOMENTS』ラスト曲で始まるのでえっ?と思うが歌詞が違った (John Dowlandというイギリスの音楽家の曲らしい)。2曲目からはこれまでどおりの細かいテクニカル系になるが、引く部分はよりエモーショナルで深みが出、しかし緊張感は失わない。そんな研ぎ澄まされた演奏が押し寄せる曲は抜群! 進歩してます。ただ、古臭いリフ主体でVoがぶっきらぼうに吐き捨てるやる気のないハードロック曲がいくつか挟まるがこれは正直イラんな^^; まぁ、牧歌的美を感じさせる9曲目のような曲を引き立ててくれているのかもしれんが。


(2013.07.28.Sunday)


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