コンピレーション プログレ

VARIOUS ARTISTS


・THE 7 SAMURAI "THE ULTIMATE EPIC" (2006)

フィンランドのファンジン、COLOSSUSによる企画。第5弾かな。このシリーズは単なるコンピではなく、殆どの場合企画に合わせた新曲が用意されるのでプログレファンとしてはスルーは出来ない良質の企画である。さて本作はタイトルから分かるように映画七人の侍 (黒澤明)をコンセプトに、3つのバンドがそれぞれ大曲を用意している。まずはイタリアのCAP。優雅に始まったとおもいきやギターやキーボードが汚らしく (褒め言葉) 唸り、大仰なヴォーカルが聴こえてくるとそれはまさに70年代を思わせるイタリアン・ロック! ちょっと洒落たパートのどんくささもイタリアらしいか。一瞬の爆発力にはやや欠けるが、些細な事だな。続くはベネズエラのTEMPANO。熱さの中に冷静さ、澄みきった空気を感じさせる独特のシンフォで、そのアレンジ能力の高さ、聴こえてくる音のセンスの良さが抜群だ。ラストはイタリアのTAPROBAN。本作中最もストレートな曲で、キーボードが暴れまわっている。要所での緩急の付け方が効果的なのも抑制しない激しさがあるからだ。

一部で「彼らこそ侍だ」なんてセリフが聴ける以外は3曲共に、ハッキリいってどこらへんがサムライ映画なのかわからんがw、純粋にシンフォとしての出来がいい。映画に疎すぎる (恥) 私にはこういう 、コンセプトをあまり気にせず音楽だけで楽しめるのがよかった。


(2013.08.16.Friday)

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・E TU VIVRAI NEL TERRORE (1998)

イタリアのBLACK WIDOWレーベルによるホラー映画音楽トリビュート。……イタリアといえばホラー映画が有名ですもんね。
参加バンドはEUGENIO MUCCI, DEATH SS, TENEBRE, NORTHWINDS, MALOMBRA, AKRON, AL FESTA, WOUNDED KNEE, PRESENCE, ICONAE, SUN DIAL, GOD ZILLA, A PIEDI NUDI, STANDARTE, CLAUDIO SIMONETTI, ARS NOVA, LINGAM, HELDEN RUNE, HUMUS, MORTE MACABRE, ABIOGENESI, IL SEGNO DEL COMANDO, BEVIS FROND, SOMNAMBULIST, UNA STAGIONE ALL'INFERNO, THE BLACK, NEKROPOLIS, MOTTORISMUS, MAETHELYAHで、正直名前も知らないのも結構あるな^^;
基本メタル系とシンフォ系のバンドたちで、テーマがテーマだけに不気味な曲が多くていいです! 女性コーラスから各種キーボード、ヘヴィなギターまでなんでも妖しくて怖い! カブリモノしてるイロモノバンドとしか知らなかったDEATH SSの曲が一番印象的。THERIONを不気味でチープにした感じがいかにもホラー。
ところで本作、日本盤が『恐怖の旋律 世界のホラー映画作品に捧げるトリビュート・アルバム』というタイトルで出ているそうなんですが一度もお目にかかったことナシ。ネットに情報らしい情報もナシ。私の買った輸入盤 (日本でのディストリビューターは新宿のAURORA MUSIKKとの記載アリ) が紙ペラ一枚なのに対し、80ページの豪華ブックレットなんだそうだ。欲しい!(笑)


(2020.11.02.Monday)

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・KSCOPE VOL.1 (2009)

post-progressive soundsを標榜し、現代プログレの有名アーティストを多数抱えるレーベルのサンプラーです。
収録されているのはPINEAPPLE THIEF, LUNATIC SOUL, NO-MAN, ENGINEERS, ANEKDOTEN, NORTH ATLANTIC OSCILLATION, RICHARD BARBIERI, NOSOUND, ANATHEMA, STEVEN WILSONで、どことなくサウンドに共通点が感じられます。音が詰め込まれていて壁のように感じる所が多く、でも透明感や退廃を同時に味わえるみたいな。で、ボーカルは皆暗く囁くようなタイプ。LUNATIC SOULはメランコリー溢れててイイ。ANEKDOTENはこの中に入るとボーカルの弱さが目立ってしまうな。ANATHEMAは…その昔『The Silent Enigma』というアルバムを聞いて、その平坦さに私には合わないなと思って以来聞いてませんでしたがメッチャ変わってますね。デス声じゃないし、このレーベルにいるのが何ら不思議じゃない音。特にレアな曲などは無いフツーのサンプラーですが、どの曲もけっして雰囲気モノじゃなく、心惹かれるメロディがたっぷりです。このレーベルは真剣に追いかけたほうが良いかもな (今更!?^^;)


(2018.03.14.Wednesday)

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・NOBODY'S LAND ACT 1 (2003)

NOBODY'S LANDというイタリアのプログレ雑誌の付録だったものをCD単体で発売したものらしい。イタリアン・プログレアーティスト14組15曲を収録。内8曲が未発表モノらしいが詳しい検証まではしてないです^^;
1, 2曲目はVittorio De Scalziによる、元ERIS PLUVIAのEdmondo Romanoも参加してのAllegroとAdagioのアコースティック・ライヴ。あの艶かしい旋律がよりクッキリ際立っており、素晴らしい。是非フルで聴きたいところ。3曲目はMANGALA VALLISのIs the End the Beginning?。GENESISやYES直系という感じで、明るくハキハキしたシンフォだ。中盤のメロトロンには卒倒w。もちろん音自体はしっかり現代のものなので頼もしさがある。4曲目はBeppe Crovella & MOSAICのTense。オサレな前衛性を感じさせる風変わりなシンフォ。5曲目はMOONGARDENのForever Chained。ポップかつドライないかにも現代のプログレで、メランコリックだがファンタジックではないってタイプだ。6曲目はClive Bunker & BEGGER'S FARMのNothing Is Easy。もともとJETHRO TULLのカヴァーをするプロジェクトが本家のドラマーまで呼び寄せた、みたいなやつだっけ。ここでも泥臭くブルージーな感じでフルートが炸裂しております。7曲目はFrio ChiricoのZeta。瑞々しいジャジーピアノと細くもパワフルなドラムが聴きどころか。8曲目はNOTTURNO CONCERTANTEのNot In My Name。軽快なパーカッションと美しいキーボードの組み合わせ。単純だが心洗われる曲だ。9曲目はCANTINA SOCIALEのKantele。Kalevalaってコンピにも入ってた曲だけど多分バージョン違い。Voも演奏も暗く不気味に暴れまくり! ラストはトラッド哀愁溢るるフルート! 文句なしですw。10曲目はDFAのTrip On Metro。いかにもテクニカル系特有のガチャガチャな曲だがしっかり美しさも感じられるのがいい。11曲目はLABORATORIO MUSICALE DEL GRAALのBirth Song。民族チックで雄大なバックに女性Voが響き渡る。見たことも聞いたこともないバンドだが、プログレより民族音楽方面で活動しているのかね? 公式サイト見ると、結構アルバム出している模様。12曲目はVENEGONI & COのDanza Di Luna。ARTI E MESTIERIの2nd辺りを思わせる比較的ゆったりしたジャズ・ロック調の曲。13曲目はCALLIOPEのLuci Ed Ombre。ザクザクギターに非常に硬いVo、派手で激しい展開のダサカッコよさは、イタリアらしいといえばこれ以上ないほどイタリアらしいかも。14曲目はA.M.PのMellotron。FINISTERREのメンバーによる曲だけに、先鋭的な音を持ち込んだ独特のシンフォでとても良い。15曲目はARTI E MESTIERIのArc En Ciel。ポジティブな明るさがありつつ、落ち着きのあるナンバー。でもメロディのクセみたいなのは昔と変わってなくて個性十分か。
これは! というほどの名曲には巡り会えなかったが、サンプラーとしてもマニアックアイテムとしても十分楽しめる逸品かと。


(2013.12.13.Friday)

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・ODYSSEY THE GREATEST TALE (2005)

COLOSSUSMarco Bernard企画のコンセプト・オムニバス第4弾。3枚組で9つのバンドがそれぞれ20分を超える曲を提供するという凄いボリュームになっている。しかも本作のための新曲である。これだけでもう買うしかないですよね(歓喜)。
参加しているのはNATHAN MAHL, NEXUS, GLASS HAMMER, XII ALFONSO, SIMON SAYS, CAP, TEMPANO, MINIMUM VITAL, AETHERで、どのバンドも気合入ってるのが伝わる素晴らしい出来です。GLASS HAMMERはアテナ、ナウシカ、アルキノオス等オデュッセイアの登場人物をメンバー間で歌い分ける対話形式で、なにより女性ヴォーカルの素晴らしさに感動できます。CAPはまさにイタリアな濃さ、臭さが充満。更には異空間なカオスまで描き出してやりたい放題! 英訳の最後でやらかしちゃってるけど(笑)。AETHERは本作中単純に最もカッコイイ。ギターとキーボードがグワッと盛り上げて最後はシットリ終わります。何故かゲストに一番カッコイイ所を持っていかれちゃってるけど(苦笑)。この3曲が特にお気に入りだけど、他の曲も良いしオススメコンピですよ!


(2015.03.18.Wednesday)

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・PROGDAY 2001 (2002)

アメリカで開催された2001年のPROGDAYの模様を収録した2枚組。特に国名を記していないのは全てアメリカのバンドです。
YETIはKING CRIMSONを極端にヘヴィにしたような音楽性で、アヴァンさが痛快。スペースサイケなとこもあって本作で一番印象に残ったかも。SIGMUND SNOPEK IIIはアルバム『Trinity』からの曲で、ジャジーなテクニカルさがありつつスタジオ作よりもだいぶ勢いのある演奏を堪能できる。摩訶不思議なSFストーリーも十分伝わってくる。THE MUFFINSはサックスが炸裂するジャズ・ロック。リゾート地が思い浮かぶようなマッタリしたトコが素敵。POLYDACTYLはわりとヘヴィなギターを中心としたジャズ・ロック。このアルバムの中ではエライ地味かもなぁ。AZIGZAは民族音楽系のサイケ・ロック。ヴァイオリンの妖しいメロディがイイし、盛大に盛り上がる部分など民族音楽の域を飛び越えててビックリ。2004年のアルバムの曲を既にやっているのも興味深いかもね。ラストは日本のARS NOVAで、過剰なまでにエレガントで邪悪さもあって最高に楽しめるシンフォです。
個人的にはYETI, AZIGZA, ARS NOVAの3つが頭抜けていると感じたが、全体を見ても退屈な場面はあまりなく充実のライブ・コンピです。


(2015.02.18.Wednesday)

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・PROGFEST 2000 (2001)

ロサンゼルスで開催されたフェスティバルの模様を収めた2枚組。DVDも出ており、そりゃ映像がある方が楽しいがCDのほうが収録曲が多いので結局両方買う羽目になる(笑)。
参加しているのはKENSO(日本)、SUPERSISTER(オランダ)、MONA LISA(フランス)、SPOCK'S BEARD(アメリカ)、ROCKET SCIENTISTS(アメリカ)、CODICE(メキシコ)、TEMPUS FUGIT(ブラジル) の7組。実際はBANCO等も出演したそうだが未収録だ(残念)。
一番の聴きどころはラスト2組。それまでと比べちょっとマイナーな分(?)、コテコテのシンフォとなっていて、個人的に一番グッときます(笑)。もちろん他のバンドもそれぞれ違う個性があって楽しめますよ。


(2014.06.28.Saturday)

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・PROGLIVE 97 CORBIGNY (1997)

1997年8月23日、フランスはコルビニーにて開かれたPROGLIVE 1997というイベントの模様を収録。まずはフランスのMINIMUM VITALで、フランスらしいオサレさと洗練されすぎない感じがイイです。伸びやかなメロディと女性ヴォーカルによるポップさもある。笛を模したキーボード主体になるとなんか日本ファルコムのゲームっぽい(笑)。フランスのJEAN-PASCAL BOFFOは一人でアコースティック・ギターの演奏を披露。しっとり優しい中にお祭りのような気分が盛り上がる部分があって結構良いかも。ちなみにこの人がこのイベントの主催者らしい。ポーランドのQUIDAMは甲高い音で紡ぐギターや幻想的なアレンジが見事。まさにネオ・プログレの良い所の凝縮。物悲しいフルートも炸裂してます。フランスのCYRIL ACHARDはハード&ヘヴィなテクニカルプログレ。勢い抜群のプログレ・メタルってとこか? 普段あまり縁のない音楽ですがカッコイイですな。イタリアのFINISTERREは、まだ叙情派路線だった時期だけにフルート奏者もいてもう私の琴線に触れまくり!(笑)。単に美しいだけじゃなくヒネリが効きまくってるのも最高! 文句無しです。
いや〜どのバンドも良かったけど個人的にはQUIDAMとFINISTERREの2強、みたいな感じでした。


(2015.02.16.Monday)

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・RIME OF THE ANCIENT SAMPLER - THE MELLOTRON ALBUM (1993)

プログレファンのみならず、あらゆる人々を魅了してやまない(断言)魔法の楽器、メロトロンを使った曲を集めたアルバム。1964年の商品説明(?)の際の音源なんかもあって実に興味深い(笑)
メロトロンというと哀愁、郷愁等を掻き立てるという勝手なイメージを持っているんですが、実際そういう唆られる曲が多くてニンマリ。一方でニューウェーブ風な曲もあったりで人それぞれ使い方は様々でとても面白いアルバムとなっています。「In The Wake Of Poseidon」みたいなメロトロンが爆発する曲は無く、どれも理性と節度を持って作られた曲ばかりなのはちょっと寂しいかな、なんて思ったりもしますが^^;
参加者を列挙しておくと、MATT CLIFFORD, BILL NELSON, MICHAEL PINDER, PATRICK MORAZ, GORDON REID, SHEILA MALONEY, BLUE WEAVER, DEREK HOLT, NICK MAGNUS, WOOLY WOLSTENHOLME, KEN FREEMAN, MARTIN SMITH, DAVID CROSS, CHRIS TAYLOR, DAVID KEAN, JULIAN COLBECK, DAVID ETHERIDGEです。


(2015.02.26.Thursday)

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・RIO ART ROCK FESTIVAL '97 (1999)

1997年12月4日、ブラジルはリオ・デ・ジャネイロで開かれたPROGフェスの音源をいくつか集めた2枚組。DISC1が本作のメインで、まずはブラジルのQUATERNA REQUIEMから。明るくクラシカルなシンフォだが、時折垣間見せる美しさには耳が釘付けになる。続いてブラジルのVIOLETA DE OUTONO。初期のPINK FLOYD的な情緒ある空間サイケ色が強い。ラストはスウェーデンのPAR LINDH PROJECT。ELPからの伝統を現代的にアップデートしたサウンドはここでも健在だが、スタジオ盤とあまり違わないのでライブならではの面白みに欠けるかな (Voが女性に変わっているくらい?)。ラスト曲のVoがヒドすぎるんですがそれは。DISC2はボーナスで、96年から98年のライブ、99年のスタジオ音源を収録。まずはブラジルのEL FIRE。本作中唯一のスタジオ音源ですね。不思議な質感ながら、流れるような曲。次はフランスのMINIMUM VITAL。アコースティックの細かい部分が効いている。ブラジルのSAGRADO CORACAO DA TERRAはつややかな音色のヴァイオリンが炸裂。ハンガリーのSOLARISは大好きなバンドですが、どうにも迫力のない音で残念。彼らのライブ盤『Live in Los Angeles』の再発Verにブラジルでのライブがボーナスで入ってたのでそれと同じかな?とか思ってたら実際は違ってたのでその点は良かったなw。ブラジルのAPOCALYPSEはGENESISとCOLLAGEを足したような音、に私には聴こえる。Voの癖が強い。ブラジルのTEMPUS FUGITは意外にレトロな音も聴こえるシンフォ。ラストはイギリスのPENDRAGON。他のバンドよりえらくシンプルだが、メロディアスなギターとそれを包むシンセにウットリである。

全体として、録音の質が悪く盛り上がらない感は否めない。やっつけなジャケ、豊富だが写りの悪い写真などもちょっとね。良いと思える曲もハッキリ言って少ないが、ここでしか聴けない音源もあるのでマニアなら持っておきたい作品ではある。


(2013.08.22.Thursday)


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