スペイン プログレ

AZABACHE


・DIAS DE LUNA (1979)

AZAHARというバンドに参加していたメンバーによるバンド。邦題は『月の日々』
スペインといってもフラメンコがどうたらというタイプでなく、国意識のあまり無さそうな割とオーソドックスなシンフォ。比較的明るくポップさもありつつ、キーボードがやけに幻想的な音色を出しており、凄く耳を惹く場面が多いです。なにやら交通事故(?)を模した効果音が入っており、ちょっと怖いが脳天気な作品じゃないってことでOK(笑)。しかし気の抜けたマヌケっぷりが出まくってるボーカルはいただけないなぁ。


(2015.01.02.Friday)


・NO, GRACIAS (1980)

こちらバンドの最終作になってしまった模様。
前作以上にポップで、I POOH辺りを想起するプログレ好きにも結構好まれるタイプのポップ・ロック。聴いてるうちにポジティブ思考になる快活なメロディが詰まってます。時折沁みる叙情を描き出したと思っても曲の途中までだったりして少しガッカリしたりも(笑)。要所でのキーボードの活躍はプログレバンドの名残か。ボーカルもやや調子っぱずれなのは変わらないが前作よりはマシである。


(2015.01.04.Sunday)

GRANADA


・HABLO DE UNA TIERRA (1975)

スペインのプログレとしてはTRIANAと並び称される存在で、様々な楽器を操るCarlos Carcamoの才能が存分に発揮されたバンドです!
このファーストアルバムでは非常に泥臭い曲の存在から洗練されてなさを感じてしまうが、素晴らしい曲も収録されています。フォーク系の悲しみに溢れるバイオリンにウットリしていたら、突然呼吸激しいフルートが暴れる 「Rompiendo La Oscuridad」 、美しいメロトロンにフルートやフラメンコなギターが乗るタイトル曲……もうこの二曲だけで十分満足です。フラメンコ・ロックといえばTRIANAだけど、GRANADAはあそこまで濃くはないのでより幻想に浸りやすいと思います。汗臭曲もJETHRO TULLあたりが好きな人には訴求するかもねぇ。


(2020.06.11.Thursday)


・ESPANA ANO 75 (1976)

こちらセカンドアルバム。邦題は『スペイン75年』。個人的に初めて聞いたこのバンドの作品なので思い出深いな。ある日タワレコをうろついてたらディスカスなるレーベルが出していた哀愁のユーロピアン・ロック スペインの旅シリーズなんてのを発見! こんなの出てるとは知らなかったのに加え、ちょうどスペインモノにも手を伸ばしたいと思っていたので興奮したなぁ(笑)。
前作に比べかなり洗練された音になっていて、特に冒頭の四部構成の組曲は哀愁なんかより勢いだってな感じで硬派だ。ブワっと美しいキーボードの音色が広がっても決して幻想は見ない。ジャズ要素も出てきてる。お約束の悲しい旋律でいくらでも泣かしてくれていいんだよーとか思っちゃう私ですが、これはこれで格好良くて好きです。


(2020.07.03.Friday)

KOTEBEL


・STRUCTURES (1999)

ベネズエラ出身で活動はスペインで行う、主にキーボードを奏するCarlos Plazaのバンド。このバンド特有のメロディ使いは既にある程度感じられる。パーカッシブにカッコヨクキメたかと思うと一転幻想を紡ぎ出す。しかしそのメロディは仄かな妖しさと叙情を纏い…みたいな感じ。大好きです! が、まだ1作目ということもあってか次作以降のようなドラマティックさは無いです。フルートもなんか音が細いし、いくら美しく幻想性豊かでも音自体がイマイチなためチープに感じられるなぁ。でもま、印象に残る曲もあります。5曲目がバンドの良さを詰め込んだかの名曲。ミステリアスだが嫋やかな叙情…7分台からの悲壮感あふるるリリシズム! 文句なし。印象的といえば7曲目も。単純な (ニューウェーブ風?) リズムにポンポコパーカッションw。マヌケだなーと思ってたらなんだかエンディングにぴったりの展開になってしみじみ…。なんでこれとポンポコを同じ曲にするかなぁ。こういう分裂症的味わいもプログレの楽しみのひとつなのは言うまでもない(^^♪


(2012.03.27.Tuesday)


・MYSTICAE VISIONES (2002)

個人的に初めて聴いた彼らのアルバムがコレ。デデンと構える35分の組曲。タイトルから察するに誕生から死後の世界まで描いた曲なのだろうか。エレウシスだかオルフェウスだかの密儀宗教の場合、入信者に幻覚性植物与えて擬似的に生と死を体験させるとかなんとか。これもそういう儀式的な曲だったら面白いがさすがに考え過ぎだろうな^^; で、この曲。序盤は若々しい跳ねるようなみずみずしさ。中盤の煮え切らないミステリアスさ。死んだことに気づいていないのか、いや、気付きたくないがゆえの葛藤みたいなものを感じる。その後、とめどなくキーボードソロが出てくる展開は圧巻。ラストで最初のメロディが。転生? 生や死といったものから連想するイメージに比較的忠実な曲作りと思える。しかしそれを超越したところにあるようなめくるめくヴィジョン。感動せずにはいられない名曲だ。アルバムラストはヘルマン・ヘッセシッダールタ (読んだことなし(汗) に想を得たらしい曲。この小説は別にブッダのことを書いたわけではないそうだが、東洋的なメロディが出てきてニンマリ。妖しくなりすぎないくらいでカッコイイのだ。心洗われるフルートとキーボードもあるしけして蛇足的な曲じゃありません。これも名曲。あまり目立たなかったギター (前作とは違う人だが) も今回はゴリゴリ目立つパートが増え、女性スキャットも雰囲気作りに貢献。フルートの音色も格段にアップした。全体として、前作とはケタが違う傑作だ。


(2012.03.27.Tuesday)


・FRAGMENTS OF LIGHT (2003)

とてもバラエティ豊かな曲が並ぶアルバム。音をひたすら詰め込んでヘヴィだと感じさせる部分と安らかなる静の部分を繰り返す、圧迫感とそれからの開放みたいなこのバンドの特徴的な部分は本作から確立したといえる。特に1曲目「Hades」に顕著。外部存在と接続した巫女みたいな女性ボーカルもイイ。ナルシスティックな男性ボーカルが活躍する「Fire」も名曲かな。序盤のフルートの響き、後半のナルシス度MAXを超えてひたすら胡散臭くなるボーカル、弾きまくるキーボード…なにもかも素晴らしい。が、他は大したことないんだよねぇ。良いメロディは少ないし、かといって前衛性があるかといえばそうでもない。言っちゃ悪いが捨て曲が並ぶみたいな感想を持ってしまったw。ラストのピアノ組曲もフーンて感じで右から左へ流れていくだけ。他作品より一段落ちる感じは否めない。


(2012.03.28.Wednesday)


・OMPHALOS (2006)

専任のドラムとベースが参加するようになったアルバム。1曲目の「Ra」は前作の「Hades」を発展させたような曲で、巫女ボーカル、祝祭的リズム、フルートと、もう完璧。究極のシンフォチューンであります。2曲目の「Excellent Meat」はギターがメインの曲。このバンドとしては新機軸かも。なんだかブラックメタルバンドがあまり疾走しないときにやりそうな邪悪さのあるギターがなかなかイカしてます。まぁ音自体はメタル程ソリッドじゃないんでどんくさい印象を受けますが、やりすぎてもあれだしねぇ。難しいところ。裏で鳴ってるチープなキーボードも面白いしアコギとフルートによる幻想パートもあるしでこれもいい曲。続くは6部構成の「Pentacle's Suite」。これは至福の刻と言うしかないな。フルート、ギター、チェロが大活躍。このバンドの大作といえば2作目タイトル曲だが、どっちがイイ出来かといえばどっちもイイとしか。「MetroMnemo」は2曲目をムーディーにしたような曲。「Joropo」はフルート中心で個人的には好物。なんか序盤のメロディがドラクエ5っぽい……気のせいか。「Omphalos」はアルバムの締めくくりにぴったりのゆったりアンニュイ曲。とまぁ、この残り3曲は組曲終わって余韻に浸ってる時に流れてくるのでちょっと蛇足か。でも曲単体で聴くと、イイんだよ。てことで、超傑作! 比較的前作を踏襲しているが、無駄な部分が削ぎ落とされてますね。いやーよかった!


(2012.03.29.Thursday)


・OUROBOROS (2009)

なんとまぁフルート奏者不参加! はたしてその出来や如何に!? アンフィスバエナ、ウロボロス、サテュロス、シームルグ、ベヒーモスと、想像上の生物の名前が並ぶ。今まで叙情を担ってきたフルートがいない事でヘヴィさが増すのかなぁとか思ったが、そんな予想の遥か上を行ってくれました! 音を詰め込むことをやめ、とてもバランスのとれた音に。醸し出す雰囲気も前作までの幻想ヴィジョンではなく、異様なまでの妖気漂うエレガンスさを感じさせるようになった。程良いアヴァンギャルドさがあってそれがとてつもなくカッコイイエレガンスさを生んでいる。フルートがいないのは残念だと思ったがこれはこれで超ハイクオリティと言わざるを得ない。いやぁ、感服です! 1つ問題…というほどではないのですが、曲調とタイトルが結びつかないw。シームルグとかいってもイメージ湧かないしなぁ。せいぜいベヒーモスが襲い来る巨獣なんてイメージあるだけで (つーかそれファイナルファンタジーや)、しかもどう聴いてもそんなイメージの曲じゃないしね^^; 幻獣図鑑でも読むかなぁ……


(2012.03.29.Thursday)


・CONCERTO FOR PIANO AND ELECTRIC ENSEMBLE (2012)

今回もフルートはナシ (TдT)カナシイオ…。路線は前作と変わらず。全編飛び跳ねるピアノが適度な前衛性で場を引き締めて、最高にカッコイイです。特に1曲目が良くて、最高傑作キタと思ったよ。ただ、タイトル曲の4部作が終わったあと、やや散漫なのは残念。ゲストのサックスがノリノリの曲なんて、無駄に明るくてなんか違うーって感じだし。とはいえ、素晴らしいバンドなのであくまで高レベルでの話。「Dance of Shiva」なんて、素敵すぎる曲もあるし。タイトルとは裏腹に東洋っぽくはないけど、とても破壊神の踊りとは思えないほど静謐で美しい。古代からの叡智が伝わる聖域みたいなイメージだ。これも名曲! 全体としては前作には及ばなかった感じだけど、十分名作でしょ。


(2012.04.13.Friday)

MIGUEL ANGEL DE LA LLAVE JIMENEZ


・ENGEL (2002)

Miguel Angel De La Llave Jimenezはギターからバグパイプ、フルートなどこなすマルチ奏者で、本作はその器用さがしっかり発揮されています。
フォーク風味のロック・ポップという感じで、笛の音が南米のフォークっぽくて、その滑らかな音と哀愁メロディは聴いてて蕩けそう。一方、女性ボーカルを起用した曲は割と爽やかでポップというかフュージョンみたいな演奏に聞こえたりも。ヒロイックファンタジー張りに盛り上がる曲もある。けどやっぱり中心なのは哀愁まみれの曲ですね〜。


(2018.11.09.Friday)

VICTOR ESTRADA


・LO DIVINO EN LO GROSERO (2001)

AMAROKに参加していたギタリストのソロアルバム。
メンバーはAMAROKと被っており、聴こえてくるのも同時期のAMAROKからエスニック色を抜いたようなプログレ/フォーク系サウンド。フルート、ピアノ、女性スキャットなどが絡みあう様はとても美しく、雄大な自然を思わせる部分からメルヘンな部分まで、違和感なく切り替わっていき、結構ドラマティック。神聖な響きが胸を抉る・・・。エレクトロニック系の要素もあり、そこで聴ける冷たい美しさもとても良い。


(2014.03.13.Thursday)


・CONTINUO DESPERTAR (2003)

フルートやらが目立つフォーク系のサウンドに変わりはないが、アコースティック・ギターが全面に出ており、いかにもギタリストのソロ作っぽくなった。前作はあくまで曲作りに徹した感じだったからねぇ。前作のシンセをアコギに置き換えたという言い方もできるかも。
神聖な響きこそ減ったが、哀しみを湛えたメロディの数々はとってもイイです。まぁ、全体としては若干明るくなった感じですけど。


(2014.03.13.Thursday)

ZYCLOPE


・UNO (2004)

元々はCICLOPEというバンド名で『Locura Temporal』を発表。本作はバンド名を変えてのアルバム。
拙いながらミステリアスなピアノに冷たいシンセ、ザクザクギターなどが加わってスピーディーに展開するも、モッサリ気味でいかにもB級な感じ。唐突すぎるハード・ロック曲 (Voに異様な処理がかかっておりシアトリカル系と捉えることも可) があったり、一転深い幻想を描いたり、泣きの展開もある。ここまでいくともう、B級臭さなどどこかに行ってしまって気にならなくなりますw。陰のある暗めの曲調とトラッド色や叙情十分なフルートやヴァイオリンがポイント。悪くない作品。


(2013.09.18.Wednesday)


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