スウェーデン プログレ

ALGARNAS TRADGARD


・FRAMTIDEN AR ETT SVAVANDE SKEPP, FORANKRAT I FORNTIDEN (1972)

サイケデリック系のバンド。邦題は『悦楽の園』。バンド名はヘラジカの庭という意味だとか。自分たちの「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」を作るというのが命題だったそうだが、ぶっちゃけSgt. Pepper'sより聴き応えあります。東洋っぽかったり、キグルイみたいにヴァイオリン弾きまくってたり、まぁ物の見事にいかにもなサイケですな。そのヴァイオリンだけど、一聴KING CRIMSONっぽく聴こえなくもない。いや無理ありすぎなんだけど、お下劣で何も考えてない感じがスゴイして面白いです。極めつけは「お経」。 マジでお経みたいな部分があるんですよ。この時に母親が部屋に入ってきて焦ったー。変な宗教にハマってるのかと思われたかも知らん。まぁ、好きですよ? こういうアヤシイのは。サイケのもう一つのお約束、森の神秘(スピリチュアルっての?)みたいなのを感じさせる曲もあって、こちらは心和らぎます。


(2012.03.26.Monday)


・DELAYED (2001)

セカンドアルバム用として1973年から1974年に録音されたもの。前作との出来の違いにビックリ! サイケなりのフラフラさが減って、ちょっと知性を感じさせるというか、ややどんくさいながらもヘヴィプログレといっていい音楽性に。1曲目から妖しいスキャットに悪の帝国風 (?) メロディ…たまりません。次の曲が異空間な神秘から始まるだけに落差もスゴイことになってる。まぁこの曲も次第にヘヴィに展開していきますが、こういうサイケ時空に飛ばされる部分がいいアクセントになるアルバム構成。そう、前作ほどではないとはいえ、シタール等がミョンミョン唸ってるいかにもサイケな曲も健在なのです。妖しさ、ヘヴィさ、カッコよさを兼ね備えた名盤といっていい作品でした。


(2012.03.26.Monday)

ALL TRAPS ON EARTH


・A DROP OF LIGHT (2018)

ANGLAGARDのメンバーとその娘さんが参加したバンド。
一つの小曲を除き全て10分超の大作で、ゴチャゴチャとややこしい音から漏れるメロトロンやフルートの幽玄な暗さはまさにANGLAGARDと同一の物。だけど堂々と違いも示していて、これが素晴らしい。オサレかつカッコイイジャズ要素があるし、管楽器が長く音出してるトコはカンタベリー風かはたまたCERVELLOかって感じだし、良いですよー! もちろんANGLAGARD要素も凄くて、物悲しき旋律のすぐ後に威嚇するような強圧的なサウンドに変わるのがたまらない。


(2019.03.29.Friday)

ANEKDOTEN


・FROM WITHIN (1999)

何度か来日しているぐらい日本で人気のあるバンドで、本作は3作目のアルバム。
KING CRIMSON的なちょっとアヴァンで重いギターと流れるように鳴らされるメロトロンを中心に結構陰鬱な暗い世界が紡がれます。リズムの重さもなかなかキモになっている。ボーカルはとても丁寧に歌っているけど平坦かな。でもこの静かな歌とヘヴィなパート、やすらかなメロトロンの対比が凄いし、とても気に入ってます。


(2021.02.23.Tuesday)


・GRAVITY (2003)

これが4作目。日本盤のみライブ音源収録のボーナスディスク付きだったらしいけど、私は日本盤買ったけど貰ってない泣。ディスクユニオンで買わなきゃダメだった?
ヘヴィさが大幅に減じて、ギタリストがこの時期ハマっていたというサイケデリックな色合いが強くなっている。流麗メロトロンに乗ってイイ感じに疾走する曲と、ゆったりしたテンポの欝な曲に大別される感じで、プログレというよりは現代的な (いつが現代なのかは知りません笑) ポストな浮遊感あるサイケポップロックといったところか。平坦ボーカルは声が以前よりはしっかり出ていて音の変化に合っている。最初聞いたときはヘヴィさがないゆえ耳馴染みはいいけど似た曲が並んでわりとすぐに飽きると思ったんだけど、聞き直してみると同じような曲が続いても情景の変化のようなものはしっかりと感じられた。暗黒の惑星に降り立った少女というジャケットも音に合っていてイイんだよな〜。


(2021.02.23.Tuesday)

ANGLAGARD


・HYBRIS (1992)

単なる70年代への憧れ、焼き直しではなく、明らかに新世代の音だとして登場時話題を呼んだバンドなんだとか。邦題は『ザ・シンフォニック組曲』、又は『傲慢』。バンド名はエングラゴーと読むのが正しいそうな。
KING CRIMSONYES辺りの影響は部分的に感じられるが、聴こえてくるのは真にオリジナルな音楽といってもいいでしょう。冬に凍てついた田舎の風景が脳裏に浮かぶ音。アコースティック・パートの異様な暗さなど、同時期のブラック・メタルと同じような寒々しい自然回帰志向の魔術的空気を醸している。確かにこれは70年代には無かった音かも。慟哭に満ちたメロディ。多少アヴァンなギターとハモンド。冷気を演出するメロトロンとフルート。いや〜素晴らしい。時折出てくるボーカルはご愛嬌レベルだけど。プログレファンは言うに及ばず、ブラック・メタルやゴシック・メタル、ダーク・フォークといった辺りが好きな人にも訴求する部分があると思う。


(2012.07.11.Wednesday)


・EPILOG (1994)

特に前作との違いは見当たらない。そして出来も落ちていない。
陰鬱で、アヴァンなヘヴィさがあって、美しくて。北欧の森の奥深くから鳴り響くかのピアノ&フルート! 雰囲気抜群。ヘヴィな展開を掻き消すかのように湧き上がるフォーク、アコースティックパートの絶望的な暗さ。ゾクゾクする。70年代サウンドを蘇らせただけではないと感じる。昔のブリティッシュマイナー系のような湿った感じは一切無いし、この寒々しい音は90年代以降特有のもの。オール・インストにしたのも正解でしょう。絶対必聴の名盤!


(2012.07.13.Friday)


・VILJANS OGA (2012)

長い長い雌伏の時を経て登場したアルバム。邦題は『天眼』。NEARFESTに出たりポツポツ活動してたのは知ってたけど待たせすぎぃ!
まるで変わってないアコースティック・パート。いや、なんとなくこれまでより優しさが出てきたような気がする。闇の森から聴こえてくる感じは変わらないけど、今回は僅かに灯った明かりが漏れている。暗くて、メランコリックで、聞き惚れてしまう素晴らしさです。ただ、ヘヴィ・パートのほうも棘を抜かれた様になっており、メロディの映えさ加減でいうとやや後退したかも。でも十分名作でしょう!


(2012.08.19.Sunday)

BJORN J:SON LINDH


・ATLANTIS (1983)

1944年生まれだというフルート & キーボード奏者。
主にジャズの世界で活動する人だと思うが、今作は透明感ある音色でもって得も言われぬ深い美を描き出している。特に豊かな感性あるピアノ, フルートが素晴らしい1曲目とタイトル曲は名曲だ。ただ、Jan Akkerman等も参加しているが、ギターやらサックスやらが前面に出ると、美しさもへったくれも無くなってしまうのが残念といえば残念か。オサレでリゾート感溢れる曲とかいらないなぁ…って、あくまでジャズなんだからそんなことに文句言ってもしょうがないか。


(2014.02.03.Monday)

BO HANSSON


・SAGAN OM RINGEN (1970)

HANSSON & KARLSSONで活動していたキーボード奏者のファーストアルバムで、指輪物語をテーマにキーボード以外の様々な楽器も自分で演奏して作り上げた逸品 (ゲストも参加アリ)。
オルガンなどが静かに鳴り響くのが中心のサウンド。パーカッションやギターが勢いよく鳴らされるパートもあって緩急効いてます。クラシカルだったり欧州民謡っぽかったりといった音ではなく、独自の暗めで妖しいファンタジーっぽさがあるメロディがとてもグッド。とにかく不思議なメロディ感覚があってとても気に入りました!


(2018.11.22.Thursday)

THE BROTHERHOOD OF ETERNAL LOVE


・GREEN MORNING BABY (2000)

THE SPACIOUS MINDのメンバーがいるサイケデリックなバンド。
70分超の全1曲というえげつない作品で、アジア宗教的な音がヒョロロと鳴ってたり、ジャム風のロックになったり、神聖な空間を描き出したりと変化していきます。でも、テンポが激しく変わったりとかはないため劇的さはゼロ(笑)。余裕を持ってノンビリしてるわけでなく、ただダルいだけなのよーって感じが全体を覆ってるのがいかにもサイケらしいな。40分を越えた辺りからの静かな展開が好き。やる気無さ気なボーカルも好き。


(2018.12.22.Saturday)

DROMEDAREN


・IT'S ABOUT TEATIME (1997)

4人組バンドの4曲入りミニアルバム。多分唯一作。聞いたこともないバンドだが、Discogsによるとシンフォだというので購入してみた。
KING CRIMSON張りの不穏にヘヴィなギターが主導するサウンドだけど、イマイチ緊張感がなく、印象に残る曲はナシ。オルガン奏者がいるがまるで目立ってないのも残念だなぁ。ヘタだが妙にうらぶれたボーカルだけはちょっと好きかも^^;


(2014.05.31.Saturday)

GROVJOBB


・VATTARNAS FEST (1999)

1995年結成のバンド。
薄暗い自然の中で弾かれるアコギやら泥臭いフルートやらが抜群の雰囲気を醸し、繰り返されるノンヘヴィなリフが浮遊感を出す、といったサイケデリックでかつフォークなサウンド。これは私好みだわ。ヴァイキング調の民謡メロディで勇壮に駆け抜けていく3曲目がお気に入り。勇壮な中にもヴァイオリンが怖い音色を出したりしてサイケ色を助長するのがポイント。ラストは19分間特に大きな展開を見せることもなくダラダラしたまま終わってしまう東洋サイケ大曲。これぞサイケなボーっと聴くには持ってこいな曲ですが、ほんのり落とし込まれたフォーク要素に気付くと、目が冷めますね。これもいい曲だな。


(2013.10.30.Wednesday)

HIDDEN LANDS


・IN OUR NATURE (2012)

2003年からいくつかアルバムを出しているVIOLENT SILENCEのメンバーによる作品。キーボード中心のシンフォと言っていいと思うが、やわらかな音なのにどうにも硬いメロディ、あまりカッコ良くない声のボーカルと、1曲目の時点ではハズレかなーと思ってしまう。しかし曲が進むにつれそういう不満は改善されていく。惜しみなく弾かれるキーボードや背後のエフェクトなどが淡く幻想的な世界を見せてくれるかのようで、とってもイイ。硬いメロディといったがそれはそれで風変わりシンフォとして楽しめないこともないしね。でもどうにもボーカルが足を引っ張っているようで残念ではある。


(2014.10.14.Tuesday)

IN THE LABYRINTH


・THE GARDEN OF MYSTERIES (1994)

メロトロンから様々な民族楽器まで操るPeter Lindahlなる人物のプロジェクト。元々はカセット形式で販売されてたそう。邦題は『神秘の回廊』
アジアを中心としていろんな世界の情景が霧の中に映しだされるような、艶めかしい情感たっぷりの音楽です。Peter本人による絵画や曲の解説の日本語訳まで付いており、それらを見ながらその曲が描く風景を誰しも想像して夢想の世界へ旅立つことでしょう。およそロックとはいえないけど、エキゾな旋律が好きならマスト!


(2016.03.18.Friday)


・WALKING ON CLOUDS (1999)

いきなりカーリーにマハトマと続いてヒッピー丸出しアジアンエキゾチックな曲で悶絶させられるアルバム(笑)。
なんか曲によりロック色が強まっていて十分にサイケデリックといえる出来ですね。でも前作の魅力だった世界中の光景を見せる力は微塵も弱まっておらずもうたまりませんよ。ロック色のおかげで曲がキリッと引き締まった感じがするし、この路線は好きだな。Peterの絵画が今回は拝めないのが残念といえば残念。


(2016.03.18.Friday)

LAKE OF TEARS


・HEADSTONES (1995)

プログレでもサイケでもなく、メタル系なんだけど印象に残ってるので書いてみた。
確かビクターが出してたメロデスのコンピ盤にこのバンドの曲が入ってて (そのコンピ自体は持ってないけど。広告見ただけ) そのテにハマってた私は特に疑問に思わず購入。いきなりドゥームメタルそのもののギターやボーカルが聴こえてシマッタって思った。どこがメロデスやねん! 当時BLACK SABBATHCATHEDRALが苦手だったんです。でも聴いていくとイイんですよコレが。単に地下室でハッパ吸ってる爛れドゥームじゃなく、「The Path of the Gods (Upon the Highest Mountain Part 2) 」など幻想的な曲があるのがツボなのです。半分ぐらいがわりあいノリのイイドゥームでもう半分をゴシックとファンタジーで埋めたって感じのアルバムですな。結構気に入ってます。


(2011.05.12.Thursday)


・A CRIMSON COSMOS (1997)

えらく音楽性が変わっている。
BURRN!にはよりドゥーム色が強まったと書いてあった気がするが、実際にはサイケ要素が出てきた感じ。前作で私をトリコにしたゴシック、ファンタジー要素はほぼ無くなってしまった。サイケは好きだし悪くないけど前作ほど聴き込まなかったな。サイケポップというかアシッドフォークというか、女性が歌う「Lady Rosenred」は名曲。ブックレットの色鉛筆で書いた絵はなかなか微笑ましくて良し(^^)


(2011.05.12.Thursday)


・FOREVER AUTUMN (1999)

コレまた音楽性激変。ドゥームもサイケもどっかいって100パーセントゴシックメタルになってる。
ゲストでチェロやフルートも使っててホント美しい。やさしい (頼りないともいう) ボーカルもアルバムの雰囲気にバッチリ合ってます。曲ごとに緩急つけたりしてない感じで、ちょっと淡々としてるけどジャケも含め雰囲気作りに成功した作品と言えそう。ジャケの印象もあるけど、現実世界がふっと垣間見せる幻想みたいなのを感じられるアルバムです。


(2011.05.12.Thursday)

MOON TROTSKIJ


・I FELL BUT ANDROMEDA ROSE TO THE STARS (2003)

サイケデリック系のバンド、THE SPACIOUS MINDのメンバーであるHenrik Ojaを中心にしたプロジェクト。Henrikはキーボードからギター、ベースまで担当。REFUSEDなるパンクバンドのDavid Sandstromがドラムを、THE SPACIOUS MINDのJens Unossonが作詞を担当している。
40分超えの大曲のみを収録。分類するならやはりサイケデリックになるのであろう、ゆったりしたドローンからわりあいへヴィなギター、美しさもある静的パートへと移り変わっていく。THE SPACIOUS MINDに比べ都会なサウンドという気がする。特別な個性はないかもだけど、どのパートもすこぶる出来は良く、夢見心地に浸れますよ! 途中日本語の語りが出てくるけど、残響音含みすぎてて聞き取るのは難しい(笑)。


(2020.06.10.Wednesday)

PAR LINDH PROJECT


・IN CONCERT LIVE IN POLAND (2008)

現代キーボードプログレとしては有名なバンドのポーランドでのライブを収録したDVD。
それまでボーカルを務めていたMagdalena Hagbergが病気で亡くなり、ギターが抜けてシンプルなキーボード・トリオへと編成を一新してのライブで、正直なところ今一つ燃えられない内容。主役のキーボードがギターの穴を埋められてなくて、そのため音がスカスカなのだ。しかもMagdalenaの歌の部分をどうするのかと思えば、誰かが代わりに歌うのでなくキーボードがヒョロローって歌メロなぞりだすんだもん。格好悪くてズコーですよもう……。ライブならではのアレンジはあったほうがイイけどコレに関しては苦肉の策としか思えんかった。もちろんこのバンドのことですから曲自体はいいですよ。ドラマ性溢れるクラシカルな荘厳キーボードロックです。


(2016.03.13.Sunday)

PAR LINDH AND BJORN JOHANSSON


・BILBO (1996)

PAR LINDH PROJECTの主役と、その作品にも参加し、ギターやバスーンを操るBJORN JOHANSSONによるプロジェクトで、トールキンのホビットの冒険をテーマにしたファンタジーを描く。この作品には聴く前から凄く大きな期待を持っていて、なぜかというとPAR LINDH PROJECTのファーストアルバムに 「Gunnlev's Round」 という私の心にブッ刺さったファンタジー曲があったから。こんな曲を作れる人がアルバム一枚丸々ファンタジーをテーマに作ったら……(ゴクリ)ってなもんですよ。で、しっかりそれに答えてくれる逸品だったのです。フルートやオーボエがトラッドな旋律を奏で、バックに徹した感じのキーボードもたまには唸るし、今は亡き女性ヴォーカリストも可憐な声で歌ってくれるし。タラランタラランタラランランラン……なんて、可愛らしい少女声で歌われたら気恥ずかしくなってしまいますよ(笑)。ファンタジー世界を不純物無く見事に描ききっています!


(2019.04.15.Monday)


・DREAMSONGS FROM MIDDLE EARTH (2004)

こちらは2作目で、テーマは指輪物語に移っている。ブックレットの味があるとしか言えない絵は必見! いや、そんなことはどうでもよくて、肝心の音楽は前作とあまり変わっていません。アコースティック楽器がトラッドなメロディを振りまくシンフォニック・ロック。ジャケットの色味同様というべきか、ちょっと地味になったかも。女性ボーカルもたまにスキャットみたいのが出てくるだけだし。落ち着いたとか、深遠さが出たとか、そんな風に言えるかもしれないし、充分良い作品だと思うけど、若干前作のほうが好きです。


(2019.04.15.Monday)

PARSON SOUND


・PARSON SOUND (2001)

スウェディッシュ・サイケの大御所TRAD, GRAS OCH STENARへと繋がっていくバンドが’60年代に残した音源をまとめたもの。
現代音楽とROLLING STONESに影響を受けたとかで、非常にシリアスでまじめに精神を探求した混沌の中に、時折わりとこの時代にありがちなボーカルが入ってくるというサウンド。ノイジーな弦楽器が生み出す危ない音にシビれる。アジアン民族音楽風の曲もあって、どこか秘境の寺院でも訪ねたような気分になります。トランス効果も抜群な一品!


(2013.11.19.Tuesday)

RAD KJETIL SENZA TESTA


・OF THE AUGMENTED LIVING DEAD (2013)

THE SPACIOUS MINDと関係のある4人組らしいが詳細はイマイチ不明。おそらくはKjetil Landinsという人物が中心のプロジェクトの一つで、最初にその名を知ったのはRAD KJETIL AND THE LOVING EYE OF GODというサイケでアヴァンなロックを聞かせるプロジェクトだった。
さて本作はそれとは音楽性が違っていて、TANGERINE DREAMのようなシーケンスリズムに乗って展開されるシンセサイザーミュージックです。特徴としては驚くほど変化がないこと。ほぼずっとおんなじようなリズムとシンセが鳴り続ける。これを全2曲50分聞き続けるのはさぞや苦行……と思いきやシンセの音色が暗黒よりも光を感じさせる美しいものなので一気に聞かせてしまう魅力はある。現状CDでは出ていないみたいで、妙なこだわりを感じる。


(2020.06.10.Wednesday)

SAGOR & SWING


・MELODIER OCH FAGLAR (2002)

ソロアルバムも出しているオルガン奏者Eric Malmbergによるプロジェクトの模様。
優しいオルガンと控えめなドラムによる音楽で、メロディはノスタルジーを喚起するような素朴で微睡めるモノ。すぐに口ずさめるほど覚えやすいってのもイイね。ああ、子供の頃、楽しかった思い出がよみがえって何とも言えない気持ちにしてくれます。ウキウキするような、もう戻れない故悲しみを感じるような…。たっぷりノスタルに浸らしといて、ラストで静かなアバンともいえるような曲持ってきて、目を覚まさせてくれるというか、現実に引き戻してくれるのもニクイね(笑)。


(2018.05.09.Wednesday)


・ALLT HANGER SAMMAN (2003)

『MELODIER OCH FAGLAR』に続くアルバムで、ノスタルさは減ってアバン要素が増えた感じかな。
KING CRIMSON 「Moonchild」 を思わせるような曲が続きます。やわらかで優しかった音色が今作では随分キンキンと甲高くなって、ちょっと残念…。でもこれはこれで神秘的で美しい音と言えるかも。中盤からは趣が変わって前作同様のメロディも聞けるけど、どうにもオルガンもドラムも元気なんだよね。あの奥ゆかしい音に浸っていた分、なんか似合わないなんて、勝手に思ってしまいます^^;
で、静かな曲はアバン方面に振り切っちゃってると。今作も良い作品だとは思うんだけど、前作で静かなノスタルを求める体になってしまったのがいけないのですハイ…。


(2018.05.09.Wednesday)

SINKADUS


・AURUM NOSTRUM (1997)

フルートやチェロの女性2人含む6人組。邦題は『黄金伝説』
牧歌的なフルート、一転禍々しいヘヴィさが顔を出し、おお、ANGLAGARDタイプ!と思うもそれは一瞬だけで、アルバムの多くをメロウな部分が占めている。その田舎臭いメロディはたまらなく魅力的。冷たい空気の中、ほんのり暖かいメロトロン! ボーカルも演奏も不安定だし音質も洗練されてないけど、そんな欠点をメロディと雰囲気の良さでギリギリ捩じ伏せたってとこか。


(2012.12.17.Monday)

ST MIKAEL


・THE UNKNOWN (1990)

レトロでちょっとチープなサイケデリック・ロックを奏でるおじさん (お兄さん?)。
細いけど必死さが伝わって来るギターとどこを向いてるんだかわからないボーカルで紡ぐロックな曲と、霞の中から聞こえてくるような静かで危ない曲の2パターンあって、どっちもイイねぇ……。 「Colours Of Grief」 は後者の中でも特に沁みます。まさに白日夢ソング。 「Song For You (Lost Beyond)」 はおクスリよりもお酒が合いそうな曲で、無理してる感があって笑ってしまった。しかしまぁ、こういうアルバムを聴いて落ち着いちゃったりする精神状態からは早く脱したいと思ったりもするな……


(2019.03.27.Wednesday)


・SOUL FLOWER (1996)

セーデルテリエ出身というミュージシャン。バンドもやってみたものの、結局一人で自宅録音する道を選んだタイプらしい。
元々は2枚組アナログで出ていた本作、今はiTunesなんかで買うことが出来ます。ありがたいです。レトロなオルガンが鳴り響き、昔のハードロックから激しさを抜いたみたいな感じがあります。一方でドゥームメタルみたいなズルズルとしたヘヴィなギターも聞けます。全体的にヨレヨレであり、ちょっと妖しいところもあるメロディ満載で実にイイ。ボーカルも含め、虚ろでサイケらしい儀式っぽさが前面に出ている逸品です。


(2018.03.15.Thursday)

THE SPACIOUS MIND


・TONEN (2006)

20分を超える2曲を収録。
今作も内面的な空間を漂う心地良い音で満ちている。そこに抑揚の無いフレーズを繰り返すギター等色んな音が重なり、トリップ感を煽る。素朴な笛の音など仄かなトラッド色もタマラナイ。かなりダラダラとした音なのにダルさはなく、明晰夢をみている、そんな感覚を起こしてしまう澄みきった、どこか神聖とすら思える音楽。それらを切り裂いて一気にヘヴィな混沌に突入したりもするが、割合で言えば少ない。無気力な時に聴くのはこういう作品が良い(笑)


(2014.11.15.Saturday)


・GENTLE PATH HIGHWAY (2007)

1991年結成だというサイケバンド。世捨て人、仙人…。そんなイメージさえ抱かせるヤバゲなバンドだ。
冷めた音色、悟ったようなVoに乗って異空間を突き進んでいくような1曲目「Rider Of The Woodlands」にいきなりノックアウトだ。目の前は何も見えていないが頭の中は明晰。曲調の変化はさほどないが、ダウナーとアッパーは常にせめぎ合っている。もう、素晴らしすぎw。他にもアジア的な間延びした宗教っぽい曲や、何一つ現実が見えていない空間たゆたう系の曲まで、サイケのお約束な曲が揃ってます。お約束だけど極めてレベルが高いのはポップさとか、ガレージバンドみたいな部分がない、純サイケデリックなサウンドだからでしょう。傑作!


(2013.07.20.Saturday)

TOMAS BODIN


・CINEMATOGRAAF (2008)

FLOWER KINGSのキーボード奏者のソロアルバム。
いわゆるシーケンス・リズムが聴こえる場面もあり、根底にあるのはTANGERINE DREAMに代表されるエレクトリック系プログレと思われる。しかしながら自由なイマジネーションを掻き立てる雰囲気、場を用意するというよりは、確実にメロディありきの作風である。どこか怖さのあるノスタルジックさを感じるメロディ群。全ての音があまりに情緒深い。場面転換が激しく、シンセも唸ってる。異色作だが、叙情性という面で見てもTomasの作品中で一番ではないか。エレクトリック系と隣り合わせにあるヒーリング、ニューエイジに足を突っ込まなかったのも正解だろう。


(2013.11.09.Saturday)

UFO OVER LAPPLAND


・UFO OVER LAPPLAND (2016)

ウメオ出身の4人組バンドとのこと。ダウンロード販売以外にはカセットしかないみたい。
メロディで盛り上げたりをあまり考えないわりと淡々とした演奏にスペースシンセが被さるいかにもよくあるサイケデリック/スペースロック。OZRIC TENTACLESほどシャキシャキハキハキした演奏でなく、疾走感よりも重さ重視な感じがあって、インストですがHAWKWINDの影響がモロに出ている印象を受けました。シンセの音もちと控えめ。正直個性みたいなのは感じないけど、こういう音楽は好きだから満足ってことで^^;


(2018.05.01.Tuesday)

VILLEBRAD


・ALLA AR HAR UTOM JAG (2007)

2004年、ウプサラにて結成されたというバンド
非常にポップなプログレ。ボーカルは甘ーいファルセット多用で歌ってくれます。口ずさみやすさがまさにポップ。そんなフツーのロックといってもイイ感じなのにバックはすごく凝っていて、あちこちからメロトロン、シンセ、スペーシーな音などが聴こえてくる。現代的な音とレトロンな音の組み合わせが見事だと思います。短めの作品だけどこれぐらいで丁度イイんじゃないかな。


(2013.04.03.Wednesday)


・ULTRARAPID (2009)

1曲目が素晴らしい。サイケなバックにかっこいい歌メロ、かすかに聴こえるメロトロン! 3分もない曲だがお腹いっぱいになる名曲だ。
ただ、アルバム全体としては前作よりシンプルになった感じかな。それはプログレ要素と普遍的なロックの融合がより自然になったとも言えるが、単にプログレ色が減っただけという気も。メジャーな音楽チャンネルで普通に流れていても違和感ない曲も多数ある。それでツマラナイのかというと全然そんなこと無くて、レトロ色のあるイマドキのバンドとしてのレベルは高い。湿りきった空気を醸しながらもカビ臭くないのが高ポイントだ。哀愁もありつつ、どこか冷めているのも現代的。北欧の90年代からの伝統、RAVANALANDBERKANEKDOTEN辺りに連なるサウンドかもしれない、というと興味持つ人もいるのかな^^; まぁそれらよりずっと普遍的なロックだけど、通じる部分を感じたのは確か。


(2013.04.03.Wednesday)


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